今日の画像は、鳥取県・若桜鉄道が人気回復策として演出した『ピンクの蒸気機関車』と、『広島フラワーフェスティバルぁ戮任后ピンクの蒸気機関車、思惑通り大人気とか。知恵と工夫の産物ですねえ。
★★『二宮金次郎』は、戦前軍部の宣伝用具に使われたため、戦後その銅像の撤去や人気の低下などで、今は知る子供達も少なくなった。が、二宮金次郎こそ日本人魂を持った偉人であり、その思想、考え方は末代々まで伝える必要がある。出久根達郎さんの著書を借り、12回日替わりで連載する。
★★金次郎が服部家を再興した話は、小田原藩主、大久保忠真タダザネの耳に達した。忠真は二宮を登用しようと考えた。しかし何分にも身分制度の厳格な時代である。賢人と言えども農民であり、家臣らが服従しないだろう。ならば二宮に何か功績を立てさせよう。その上で家臣達を説得しよう。そう考えた忠真は、分家の宇津の領地、下野国(栃木県)桜町の復興を依頼した。4千石の領地は、荒れに果てて現在は1/3以下の実高である。宇津氏は本家に居候しているありさま、有能な者を派遣し、何度か村興しを図って来たが、うまくいかない。
二宮は辞退した。自分の才能は一家を興すに止まる、とても村までは、と。忠真は引き下がらなかった。礼を厚くし、言を尽くして頼むことをやまず、『3年に及べり』とある。二宮は忠真の仁慈に感銘した。下見をした上で、再生出来るか否かを熟慮し、正式に返事をしたい、と使者に伝えた。忠真は了解した。その結果、二宮は『10カ年任せおき』の条件で引き受けた。10年間は一切、口を出さず、二宮の宰領に任せる、という意味である。10年後に好結果を得なかったら、全責任を負う、ということである。責任は死を暗示する。かくて二宮は、妻子を連れて桜町に移住した。
金次郎は、どのような方法で村興しをするつもりだったのだろうか。依頼した小田原藩主も、むろんその点を質問した。『仁術』を用います、と二宮は答えた。
『仁術』とは何か。孔子の唱える道徳の心です。人への思いやりです。この観念を村人に徹底し、働く意欲を植え付ければ、必ずや荒れた村も復興するはずです。とにかく土地がいかに貴いものであるかを教え、農事に尽くさせることです。これまで殿は復興にたくさんのお金を費やしました。以後は一銭も出す必要はございません。なまじ金を出すと、村の者はこれに心を奪われ、悪い気を興します。人情は荒廃します。
藩主曰く、お前の言うことは理想論ではないか。財を用いず村興しの策とは? 二宮はこう答えた。荒地を開墾するには荒地の力、貧乏を救うには貧乏の力を持っていたします。荒地の力とは、一反の荒れ地から一石の米が取れたとします。半分を食糧とし、残りを来年の種にします。毎年これを続ければ、金を要しません。
金次郎は言う。そもそも我が国の田畑は、外国から金を借りて拓いたものではない。荒れ地にまずひと鍬を入れ、営々と汗水を流して開拓したのだ。私が桜町でやろうとしたのは、桜町を太古の我が国とみなし、よそから援助を頼まず、自力で一から開拓することだった。たった一人で、日本国を切り開くような覚悟である。この覚悟さえあれば、何事も成る。『この覚悟、事を成すの大本なり、我が悟道の極意なり』。この覚悟さえ定まれば、家や村を興すのは容易である、『只此の覚悟一つのみ』と。
金次郎が桜町に赴任したのは文政5年(1822)、村長達が隣村で出迎えた。酒肴を用意してありますから、まず旅の疲れを癒して下さい、と言う。金次郎は断った。村長達の下心が読めたからである。彼らは金次郎を酒で丸め込もうとした。今までの役人は皆これに引っかかった。奢られると頭が上がらぬ。 (参考: 出久根達郎著『幕末明治異能の日本人』)
★『過労死』。問題になるのは、雇用されている人が、過労労働により死亡した場合。自営業で自ら働く人には適用されない。山口県防府市で弁当会社に勤める女性(50)が、労働基準局から『過労死』の認定を受けた。死亡の半年間の休日が4日しかなかったことによる。
女性は、シングルマザーの20代の娘と孫の3人暮らし。家計の足しにと、勤め先の弁当会社に休日でも出勤する旨要望をしていたと。残業時間の超超過基準には当てはまらないが、休日が極端に少なかったことに、過労死に認定された。が、待てよ、自営業で休日なしに働く人は多いよなあ。それを被雇用者だけに対策を打つ厚労省の姿勢になにか不自然さを感じる。自営業だと、自分の才覚で経営が浮沈するのだから、勢い休日も仕事に精を出す人は少なからずいるだろう。それをも放置し、被雇用者だけ過労死を取り上げるのは、行政の公平の原則からして、ちょっとおかしいと感じるが、いかがなものか。
★4月の米失業率が4.4%と10年ぶりの低い水準に。雇用者数は21万1千人も増えた。状況は『雇用不足』から、『雇用過熱』に移ろうとしている。FRBも6月には金利再値上げに動くだろう。4.4%という状況は、職種さえ問わねば、ほとんどの求職者は就業出来る状態である。中小企業、零細企業では人を雇いたくても、求職者は来ない状況。おそらく、トランプの雇用者増加政策にも、これ以上の求人増にする状況ではないと、世間の批判が向くであろうなあ。すでに4月の平均時給は26.19ドルと金融危機前の水準には届かないものの、相当高い位置にある。こんな高い賃金水準で、軽工業などの製造業は成り立たないよなあ。小売業も店員の採用がままならず、時給も上がってきて難しい経営のかじ取りを要求される。さあ、どうするトランプ、だねえ。
★異色ですねえ、フランスのマクロン新大統領。奥さんは25歳年上、高校時代の恩師だと。オブラント大統領の顧問になるが左派政権の限界に直面し、2016年夏に経済相を辞任、大統領選出馬に。エリート官僚養成校を卒業後、会計検査官として勤務。08年にロスチャイルド系の金融機関に転身。豊富な人脈を生かし、スイス食品大手ネスレが米製薬大手ファイザーを買収する1兆円規模の大型案件を成功させ、金融界を驚かせた。異色大統領、フランスに現る、ではあります。
★7日、日曜日の夕刻、自宅でバーベキューをしていた男性が、男に腹部を刺され、病院に運ばれたが死亡した。警察は隣に住む26歳の男性を現行犯逮捕。男は『刺したことは間違いないが、殺意はない』と容疑を否認、意味不明な言動もあると。いやな事件だなあ。ひょっとするとまた精神異常者の犯行か。どこに犯罪の芽が潜んでいるか分からない社会になった日本。やられ損、死に損にならない社会にしなければならない。
★化粧品業界の雄『資生堂』に比べ、売上高で1/3にしかすぎない『コーセー』が、連結営業利益で資生堂を上回った。今3月期の営業利益は、前年比13%増の391億円。売上高は10%増の2,667億円に伸びたが、資生堂の8,503億円の3割にすぎない。
本業の儲けでコーセーが資生堂を上回った裏には、『孝行娘』の存在がある。1980~90年代に生まれたミレニアム世代を中心に、『自然素材なのにカラフル』と人気を集めている米化粧品ブランド『タルト』。自然派化粧品を手掛ける同社をコーセーは14年に135億円で買収した。このタルトが急成長し、親孝行をしているのだ。16年1~12月のタルトの売上高は282億円で、前期に比べ8割も伸び、売上高営業利益率も30%と高く、年間で84億円の営業利益をはじき出した。SNSを使った独自の販売方法など、独特の販売手法で業績を伸ばすタルト。日本郵便や東芝などがM&Aで大失敗をする中、堅実な実績を残すコーセー、素晴らしいですねえ。
★日本維新の会の松井代表は、教育無償化の財源として橋下顧問が提唱する相続税増税について、制度設計を本格化させると発言。富裕層からは、それでなくても欧米に比べ高い日本の相続税をこれ以上高くすることについて反対の意見が出そうだ。タイなんか、相続税ゼロだからなあ。日本から移民して、遺産相続すれば無税ですむ。難しい問題ではあります。が、私は賛成。(*.*)