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Channel: Freeman 雑記帳・広島
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『新景インバウンド(下)―地方を潤す3つの逆転』

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★農業・食品産業技術総合研究所(つくば市)が、遺伝子組み換え技術で開発した『世界初の青い菊』と、六甲縦走です。立ち並ぶ木々が六甲の尾根道を支え、1000年にのぼる六甲の山々の自然美を保護しています。素晴らしき六甲の山々ではあります。右下をクリックすると、大きな画が見られます。

★★訪日消費の好調さは訪れる外国人の顔ぶれが多彩になっているだけではない。リピーターが日本の風情を深く楽しもうと地方まで足を運び、帰国後に日本の商品を通販で購入している。一度接点を持った外国人は息長く日本と係わる。『逆転』をキーワードに地方経済自立の芽を探ってみる。

1つの大逆転は、大都市圏を上回る地方での宿泊客の増加ぶりだ。観光庁によると、2016年の訪日客延べ宿泊人数は6,938万人。うち三大都市にある8都道府県(東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫)は前年比138万人増の4,185万人。他の地域は客数、2,725万人でこそ劣るものの、増加幅は238万人増と三大都市圏を始めて上回った。これまでは延べ宿泊人数は水準も増加幅も三大都市圏がリードして来た。だが、リピーターは地方の良さに目を向けつつある。観光庁によると、訪日回数が2回以上という人の割合は17年4~6月時点で62%、2年前より4ポイント上層した。

地方ならではの楽しみ方は多い。長崎県小値賀町は米国人の東洋文化研究科の演出で、複数の古民家を宿泊施設などに再生。トイレを広くするなど、外国人目線で改修したと言う。岐阜、長野、石川、富山4県の5自治体はミシュランの三ツ星施設を高速バスで結ぶ『北陸・飛騨・信州の3つ星街道』を開発した。

二つ目は、化粧品の輸出額と輸入額の逆転だ。中国人のまとめ買いを言い表す『爆買い』は一段落したが、帰国後も日本製の化粧品や衣料品を手に取る人が増えている。中国人は国境をまたぐ電子取引で化粧品を輸入・購入する。16年は化粧品の輸出額が初めて輸入額を上回った。コーセーは今年3月、主力拠点の群馬工場に新生産棟を稼働。国内生産能力を3割増強し、中国で人気の『雪肌精』などの増産に備える。20年に茨木市内に国内で37年ぶりの新工場を稼働させる資生堂。訪日時に日本製化粧品の良さに触れてもらい、中国の販売網でさらに囲い込む。

第一生命経済研究所は、訪日客の人気が高い『化粧品・衣料品・医薬品・家電・飲食料品』の輸出動向を分析。訪日時の購入額が16年までの5年間で1兆円増えたのと並び、16年の輸出額モも1.5兆円と5年前より6割増えた。研究所では『日本製品への人気が地域経済の雇用を作り出している面がある』と見ている。

3つ目の逆転は、地方経済を潤す主役の変化。北の大地では観光消費が公共投資を押しのけつつある。『3年後にも観光消費が公共投資を逆転する』。道銀総合研究所は、北海道内のGDPの構成比が変わりそうだ』と予測する。『観光は民需主導の自律型経済構造へカジを切る少ない手段。地域の自立意識が芽吹くきっかけになる』と期待する。スキーリゾートなどまだまだ開発する余地は大きいと話す。

本当、ここ大阪、京都、東京に出向き、その外人観光客の驚くべき行動や増加ぶりに驚いた。広島でも、外人観光客が地図を広げて試案しているので、どこへ行きたいのか、聞くとなんとカープの観戦でマツダスタジアムに足を運ぶのだと。モノからコトへ、観光客の視線はどんどん変化しています。


★今日の神戸市の背景に、摩耶の六甲連峰が東西に連なって鋸状をなし、屹立して海面を圧している。東からこの峰の名を数えると、六甲山、摩耶山、再度山、高尾山、であり、義経がわけ入ったのはこの高尾山からはるか西北方の裏山からであった。一ノ谷に出るまでの中間目標としているのは高尾山全面の高地である『鵯越ヒヨドリゴエ』である。

『鴨が飛ぶのか』と義経はその辺りで捕らえた木こりに聞いた。飛ぶと言う。(されば花実のなる雑木が多かろう)と思い、奥州の春が懐かしくなった。道は険しい。熊笹を踏んで3里ばかり行くと至るところに崖が削ぎ立ち、その崖道を行くとはるか下の谷底に風が鳴っている。この崖こそ今の地元で呼ぶ『須磨アルプス』であろう。眼下いっぱいに星がちらばっていた。星の下は海である。海には星の数よりも多い船かがり火が燃え、はるか淡路島に至るまでの空間を埋めている。『あれが平家か』。この大軍わずか三十騎で挑もうという義経の胸中が、再び理解出来ぬようになったのに違いない。

『一ノ谷へ出る道を知っているか』と聞くと、義経にとって最大の幸運であったことに、この少年は一ノ谷まで獣のわなを仕掛けに行ったことがあると言う。義経は喜びの余り、この少年に郎党にしてやる、と言い、名も与えた。経春と言う。やがて高尾山の麓に達した時、夜が明けた。下界ではすでに本隊が突入した合戦の響きが聞こえている。開戦から2時間は経っているであろう。眼下の平家本営はびくともしていない。味方は負けているのか。義経は馬から降り、地に這い、這い進んでこの崖下を見下ろした。義経は叫んだ。『ここから下りるのだ』。一同は驚いた。義経は続けて叫んだ。臆したるか。が、狂人でない証拠にそこへ鞍つきの替え馬二頭を曳いてこさせ、『この馬を落とせ』と、命じた。馬は砂礫を巻きあげつつ流れ落ちて行ったが、やがてはるかな崖下で一頭は立ち、首をあげていなないた。が、一頭は倒れたままついに立ち上がれない。『見たか、ここに一つの運がある』と、義経は言った。

義経は曲芸のようにして岩場に一あしずつ蹄を下ろし始めた。その間、つぎつぎと武者が逆落としに落ちてきた。眼下の平家に、狼狽が起こった。頭上から敵が降ってくるとは思わなかったからであろう。仮屋から人が出て来て矢を射た。その矢の叫びが、かえって源氏を勇気づけ、崖の恐怖を忘れさせた。次々に落ち、さらに人馬とも岩場からすべり落ち、地上で馬を起こすや、そのままその得手の騎射戦を始めた。平家は、にわかに潰乱カイランした。平家滅亡の序章であった。(参考:司馬遼太郎著『義経』)


★プロ野球もシーズン日程が全て終わり、来季に向けてのキャンプやトレードなど様々な動きがある。今季2年連続シーズン優勝したものの、CSで敗退し日本シリーズに出られなかったカープの松田元オーナーが地元紙の担当記者の取材に答え、以下語っている。

今季は苦しかった。みんなに強いカープと認知された中での戦いだったからだ。しかし優勝してファンと喜びを共有出来ることが本当に嬉しい。昨季の優勝で、選手は流れが読めるようになった。チームの現状はどうなっているか、どう動くべきか、いわば勝コツだね。それを覚えたが故に、反面体現する難しさもあった。

緒方監督は3年目だったが、苦しかったと思う。9月18日の甲子園での優勝インタビューは頭が真っ白になったのではないか。ある意味、内容は支離滅裂であったが、心の底から出た素晴らしいスピーチだった。采配面では、選手を使う勇気があった。2軍から推薦された選手をすぐ起用するのは、勇気がいるものだ。バティスタが代表格で、中村と岩本らもそう。CSでの敗退に反省もあろう。一生懸命勉強する男だ。来季につなげて欲しい。

試合では、表で活躍する選手、裏で活躍する選手がいて、我々はそこを見る。表で活躍する菊地、丸ら自覚が出て来た選手が担う責任は重かった。裏の存在として新井がいた。彼がチーム全体の重圧を緩和してくれた。

FAに関しては、カープは『育成』の旗を降ろしていない。最近ではドラフトの上位で即戦力投手を獲得し、うまく開花させている。今年は地元の期待が高い中村奨成も引き当てることが出来た。2軍にはまだ成長し切っていない選手という資産がある。FA補強をすれば、人的補償で狙われる選手が出てくる。誰も出せない。FAと相容れない体質であり、FAしなくてもいい形になった。


カープに熱いファンが増えてきたことは嬉しい。ファン目線を重視してきた結果だろう。例えば、印象深い試合後に販売する球団Tシャツのメッセージ。球団とファンが横に並んでチームを見て、互いに気持をシェアする。その思いでやっている。来年のファンクラブの会員カードは、優勝時の甲子園でエルドレッドが故障の鈴木を抱える場面がモチーフだ。球団職員も感銘を受けた場面だ。その感動をファンと共有したいという思いがある。

『マツダスタジアム』は、建設時、『競技場』というものにするつもりは全くなかった。人が集まり、楽しめる場所にしよう、と。野球が好きな人は前で見て、ほかの人は後ろでしゃべる。ターゲットを広げた。競技場には限界があり、負けたら人が来なくなる。だからこそ多くの種類の席を作った。常に飽きられないような発想と工夫が必要だ。球団職員にはよく海外出張をさせている。今年もオクラホマ州の縁日を視察に行った。視野を広げ、アイディアを蓄積する。それが新たなグッズ、イベントの企画に繋がる。

今は黄金の時代で、次に鉄の時代が来て、いずれは鉛の時代になるかも知れない。頑張って、工夫してファンが飽きないようなカープにしなければならない。


★木造住宅の『住友林業』が、準大手ゼネコン『熊谷組』に20%出資し、資本業務提携を結ぶ。住友林業がこれほどの多額の出資をするのは異例だ。背景には国内住宅需要の深刻な落ち込みへの危機感がある。住友林業の2018年3月期の戸建て注文住宅販売は7,600棟と前期比6%減るなど苦しい状況が続き、通期の業績見通しを下方修正した。先行きの見通しも厳しく、国内住宅着工戸数は16年度の97万戸から、30年度には54万戸にまで減るとの予測もある。

熊谷組を傘下に入れて狙うのは、大規模な木造建築やバイオマス発電所などの受注だ。両社合わせた相乗効果は中期的に売上高1,500億円、営業利益100億円と言う。証券界からは、シナジーが出るまでには相当の時間がかかると批判的。しかし見方を変えればそうでもない。熊谷組の18年3月期の連結純利益は前期比11%減の146億円の見通しで、単純計算すれば住友林業は29億円の持ち分法投資利益が得られる。熊谷組から得られる配当収入も今期ベースで8億円を上回り、合わせて税引き前利益で37億円強の押し上げ効果が期待出来る。

これをもとに、346億円の出資に対する比率を計算すると11%。税引き前利益の段階で10%を超えるリターンは悪くないとの声も出る。勿論オリンピック後の熊谷組の業績下ブレも計算内。どうやら、住宅産業の先細りをゼネコンとの協業で乗り切る算段が見えてくる。それほど先行きが厳しいという訳だろう。見渡して、日本の人口減による景気後退は相当なインパクトがあると見られる。国内市場だけを相手にする業界には特別厳しい。この波をどう乗り切るか、が最大の経営課題になっているな、住宅建設各社には。

1980年代の末、初めてシンガポールの地を踏んだ。空港はチャンギ空港。熊谷組が建設していると言う。すごいなあとも。市内では東急建設が進める商業施設が不況でとん挫の風が吹いていた。その後ゼネコンを覆った大不況は熊谷組も飲み込んだ。今、住友林業の出資会社になる。時代は時とともに大きなうねりを伴いがながら変革している。

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