昭和25年1950の夏に、当時新興出版社として名の通った光文社の『少年』という月刊誌の編集長から、何か読み切りを描かないか、と訊いてきた。そこで、日本神話の『天の岩戸伝説』は、実は日食の現象であったというショート・ショートみたいなものを、下描きを描いて送ったら、こんな毛色の変わったのでなく、まともなのを描けと要求が来た。そして、出来るなら来年の4月から連載を起こしてみないかと言うのである。多分、漫画少年の『ジャングル大帝』を見た上の決断だろう。
そこで、クリスマス島の水爆実験が行われたことから、原子力を平和に使う架空の国の話を描こうと思って、題名を『アトム大陸』とつけた。するとまたや、『大陸』は規模が大きすぎるから、もっと個人に絞るべきである、と。もう、締め切りは迫るし、どうにでもなれとやけっぱちで『アトム大使』というタイトルに変え『少年』に知らせた。が、それからが困った。
もちろん、そのころにはまだ『アトム』というキャラクターは生まれていない。ようやくにして宇宙から地球を訪れた宇宙人の大移民団と、地球人とのトラブルを描き、その調停役に『アトム大使』なる人物を出そうと思いついたとき、すでに第1回目の締め切りの日になっていた。従って、最初においてはアトムは脇役で、ケン一君や、タマオ少年、お茶の水博士、ヒゲオヤジ達がもっぱら画面に出入りし、4回目ぐらいになって、やっと本人が登場したのである。しかも、ロボットにするというのも、ギリギリの段階で決まったのだ。この『アトム大使』は、ストーリーが複雑な上に、登場人物が多すぎて、期待していたほど人気は集まらなかった。が、『少年』という大部数の威力をまざまざと見せつけられた。何と、多い時には1日に100通ものファンレターが来たのである。
『アトム大使』が終わる寸前、編集長は、『どうです。今度は、アトム坊やを主人公にしてみんですか。あの人物が一番好評だから』と、僕に勧めた。加えて、アトムには血の通った人間の性格を、そして読者が自分達と同じ仲間だと思うような親近感、泣いたり笑ったり、正義のために怒ったり、とアドバイスを。
昭和27年4月から、アトムは『鉄腕アトム』として復活。1回目でアトムの両親が作られ、子供より後に親が出来たというところが面白いと見えて、読者に受けた。アトムの頭に2本立っているのは、耳なのか角なのか、という質問がやたらにある。あれは耳でも角でもない、髪の毛が立ったものだ。僕は髪の質が固いので、風呂から上がってしばらくすると、両耳の上の毛が逆立つ。それをヒントにしたわけで、大体漫画家は、自分の顔をモデルに主人公を作ることが多い。
アトムを続けている間に、様々な出来事があった。まず、一時期、荒唐無稽の代表みたいに、評論家やPTAが目くじらを立てて悲嘆したことがあって悲しかった。たまたま知能指数の低い子が、二階の屋根から飛び降りて大けがでもすると、アトムの真似をしたのだということになって、漫画攻撃の材料にされた。
アトムは、前後3回、テレビ番組になっている。第1回目はラジオ東京・現TBSが、初期の貧相なスタジオで、棒の先に書き割りの人物をくっつけて動かすという、貧乏ったらしいな紙芝居でアトムをやった。二回目は、ぬいぐるみのアトムを少年が着て演ずるテレビ映画で、フジテレビの開局番組の一つとして、1年半ほど続いた。それには、入江たか子などが出演した。3度目が『虫プロ製テレビ漫画』のアトムで、これは4年間、200回以上続いた。
アトムの初期の読者は、もうレッキとした大人で、35歳になった人もいる(1970年時点)。恰幅のいい紳士が近寄ってきて、『やあ、手塚先生!私は、子供のころ、アトムファンで・・・』などと言われると、僕はよっぽど年をとったようで、みじめったらしい。
(参考: 手塚治虫著『手塚治虫 僕は漫画家』 1999年日本図書センター刊)
私も鉄腕アトムで育った世代ですが、アトムより『リボンの騎士』の方に興味がありましたねえ。かわいくて、チャーミングな主人公に魅せられて。アトムで一番の記憶は、悪い国の戦闘機が攻めてきたとき、翼が三角形の形をしていたことです。当時、戦闘機を始め、どんな飛行も三角形の翼をしたものはありませんでした。が、今、戦闘機、旅客機にも三角形の翼が最先端。『手塚治虫』の先見性をここに発見しました。
また、『シュマリ』では、人種差別に対する憎悪を書き続け、とても勉強になったのを思い出します。リボンの騎士は、手塚さんが宝塚で育ち、『タカラジェンヌ』たちが近隣を闊歩していた影響だとのこと。本当、天才漫画家、医者であり画家だった『手塚治虫』偉大なり、です。
★名古屋市の調査で、名古屋の街が『住みやすい』と答えた人が9割を超えました。買い物をする場所が近くにあり、交通の便がいいという理由が多く。素晴らしいですねえ、名古屋市。名古屋駅前は東京、大阪と変わらないタワービルがジャーンと。広島など足元にも及びませんぞえ、松井市長殿。
★楽天は来年2月からネット『楽天市場』の代金決済を、店別決済から、全て自社で引き受けます。代金を振り込んだのに商品が届かないといったトラブルにも責任を持って対応を。顧客と直接売買する『アマゾン』などとの顧客の囲い込み競争が激しくなりそうです。楽天市場の年間総取引高は1.5兆円。まあ、私に言わせれば、遅きに失していますねえ。私は今、アマゾン党で、楽天で何回かトラブルがあり、一切楽天では買い物をしません。送料無料もアマゾンが早かったですね。(@_@)
★スーダン内戦にからみ、韓国から派遣されているPKOが、銃弾不足で自衛隊に援助を求めた件。『武器禁輸三原則』に抵触する可能性を秘めながら、緊急性、人道上の問題から1万発の銃弾支援を決めたら、なんと韓国国内世論が日本に援助を乞うなんて、と反論。外務省や国防省が、頼んだわけではない、と釈明を。何という国でしょう。支援依頼は現地であり、正式に韓国大使が日本政府に要請したもの。こんな国を相手に、真正直な議論はできませんねえ。本当、朴槿恵大統領が行きづまり、頭を下げるまで放置するしかありません。ちなみに、今年の日本人韓国旅行者は20%減です。
■今日の画像は、『J1甲府からサンフレへ移籍が決まったMF柏好文』と、『タマスダレ』『チェリーセージ』『ナツズイセン』です。柏の加入で、サンフレのパワーに厚みが出ますね。期待します。(^.^)
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