東京電力が発注する工事の価格が、福島第一原発事故の後も高止まりしています。今年度の原発工事などで、実際にかかる費用の2~5倍の価格で発注しようとするなどの事例が数多く見つかって。東電は新再建計画でコスト削減の徹底を進める方針ですが、体質は依然として改まりません。
電力会社の設備投資は年間2兆円あり、産業界や政官界に大きな影響力を持つ源泉とされます。東電などが市場価格よりも高値で発注することで、受注するメーカーや設備・建設事業者は多額の利益を確保出来ます。調達費用の高止まり分は電気料金に上乗せされ、利用者が負担。東電の調達委員会は年間1兆円規模の資材購入や工事発注を調べています。ある発電所の工事では、実際の人件費が1日1.5万円だったにもかかわらず、受注側の見積もりが3.1万円の例も。東電から大手メーカー、子会社、下請け企業へと工事発注を繰り返し、各社が合計1.6万円を利益や手数料として確保した結果。
工事関係者は『実際の費用の2~5倍でいい値通りに契約する事例が多数ある』と語ります。ある原発関連工事で、東電は2,100万円と見積もりましたが、調達委が人件費や材料費を調べた結果、1,100万円に減らせることがわかり、受注した大手メーカーと再交渉しています。送電線や電柱など比較的規模が小さい工事でも、東電が高価格で契約しようとする例が続出。調達委は東電に交渉の見直しを求めており、今年度分では空中の送電線工事で15%、地中工事は20%のコストを削れました。こうした工事は東電の関連会社が担うことが多く、事実上の『地域独占』が続いてきました。
東電の調達コストが膨らみ勝ちなのは、受注する関連企業が東電OBを受け入れている影響が大きい、と調達委は見ています。関電工と、東京電力工事協力会の11社中9社の経営トップが東電OBでした。
そして、グループ会社が高い価格でも受注し続けられるのは、契約や入札に競争原理が働いていないから。かつて東電は随意契約が9割を占めていましたが、東日本大震災後、やっと一般入札の比率を引き上げ始めました。地中の送電線工事で、別の大手電力と関係が深い工事関係者にも加わってもらって一般競争入札にしたところ、33%のコストを減らせました。しかし、東電の担当者の一部には入札の談合を見て見ぬふりをしています。
電力業界は、地域の電力供給を一手に担う『地域独占』と、かかった費用は電力料金に原則上乗せ出来る『総括原価方式』の二つの仕組みで守られてきました。費用が膨らんでも自分の懐は痛まないため、コスト意識の低さにつながって。
4月に東電の新会長に就く『数土文夫さん』は、鉄鋼大手JFEホールディングスの出身。2012年に東電の社外取締役になって以来、徹底したコスト削減を迫ってきました。国際競争にさらされた経験から、『東電のコスト意識の低さに我慢ならなかった』ようだと。昨年末に東電がまとめた新たな総合特別事業計画=再建計画でも、グループ計2千人規模の希望退職などのリストラを主張したのは数土さんです。しかし一方で、大震災後すでに1,500人が東電を去り、その7割が20~30代の若手が占めます。リストラを敢行しながら、かつ人材をつなぎ止めるという神業を使わなければなりません。どう出るか、数土態勢です。
高止まりしているのは工事の発注に限りません。東電の費用の4割を占める燃料費も、日本の電力会社はLNGを世界で最も高い値段で買っているのです。数土さん率いる新体制は、聖域を廃してコスト構造を見直せるかどうかが問われています。
まったく、『地域独占』『親方日の丸』の東電ですねえ。これほどの事故を起こし、企業再建に大きな壁がのしかかっているというのに、体質は変わらないのでしょうかねえ。『競争原理なきところに、健全企業なし』であります。阿倍内閣はかけ声だけでなく、早く『電力解体』『発送電分離』で、電力企業間の競争を促してほしいですねえ。それ以上に、三井物産、ソフトバンクが樺太から400万kwの電力を輸入するプロジェクトが完成するのを、私は期待します。業界に風穴を開けるには、官はあまりに頼りになりませんから。(*.^)
★数土さんは、阿倍首相から『競争力のあるメーカーの経営手法を徹底導入してほしい』と要請を受けました。鉄鋼メーカーの経営者だった数土さんから見ると、東電の一番の問題は、『国際競争感覚の欠如。原価管理がおよそなってなかった』と。照準を定めるのが燃料調達。『燃料の購買力が諸外国より劣る』と指摘。他の電力会社、ガス会社との包括提携を探ります。
日航再建の稲盛さんではないですが、徹底的に過去の垢を落とす戦術をどう展開するか。全員に頭から氷水をぶっかれるような手管でも行わないと、染みついた『東電垢』はなかなか落ちませんぞえ。
★電力大手で大口顧客の流出が相次いでいます。電気料金の引き上げをきっかけに5~15%安く電気を供給する新電力と契約する自治体や企業が増加。東京電力では1万件以上が契約を解除したほか、関西電力なども減少傾向に。電力小売は2016年には家庭向けも自由化される見通し。まだ影響は少ないと安閑としていると、大変なことになりすねえ、東京電力殿。
★東電VS新潟県知事の構図も関心を集めます。東電の経営姿勢に不信感を抱く新潟県知事の理解を求めることは東電にとって重要課題の一つです。しかし、これもあれも東電の『地域独占=親方日の丸体質』が生んだ災いと言えますねえ。
★そうか、今の日中関係は『第一次世界大戦前の、英独の関係』なのか。阿倍首相が、ダボス会議の講演で発言。真意は別として、話した言葉が世界を駆けめぐります。靖国といいダボスといい、秘密保護法の手順ミスといい、調子に乗りすぎの阿倍ぼんぼんですねえ。困ったことです。
■今日の画像は、『C大阪入りするディエゴ・フォルラン』と、呉市下蒲刈町にある『朝鮮通信使が宿泊した松濤園ショウトエン』です。´↓松濤園、つ命使の漢詩、キδ並み、Щ闇契ダジ佑らの上蒲刈島。下蒲刈町は、明治以降よくぞここまでよく保存してきたと思いますねえ。素晴らしいことです。(^.^) (昨日のアップからのアクセス件数は、502件でした)