昨季16年ぶりにAクラス入りを果たした広島東洋カープと、Jリーグで史上4クラブ目の2連覇を達成したサンフレッチェ広島。カープは39年連続の黒字を続けており、サンフレは2012年J1クラブ中最多の黒字を確保し、13年も黒字。『勝つこと』と『利益を出すこと』を両立させるチーム経営についてのカープ『松田元オーナー』とサンフレ『小谷野薫社長(51)』の経営信条、です。
松田オーナー『我々は地方の、親会社もない球団。自分の中でどれだけ工夫出来るかが重要。カープには親会社がないから、他球団のように親会社から宣伝費の名目での補填はない。よって、黒字経営は必須である』。
小谷野社長『Jリーグはクラブライセンス制度がある過酷なリーグ。3期連続で赤字を出したり、債務超過になったりしたらライセンスが取り消される。一方で利益を優先させれば下位に低迷し、J2降格のリスクを常に抱える。14年1月期は1億円の黒字を確保する』。
小谷野『ファンにスタジアムへ足を運んでもらう工夫は、試合毎にテーマを明確にしたマーケティングを強化している。元所属選手の写真をポスターに使って盛り上げる。広島県出身の選手が相手チームにいるといったことでもいい。どんな人にも分かる企画を打っている』。
松田『楽しめる球場作りという理想は09年に旧市民球場からマツダスタジアムへ移転して実現出来た。今年も1億円かけて改装した。留学でロスにいた時分、ディズニーランドに行くたびにアトラクションが微妙にちょっとづつ変わる。球場へ来たら「今年はこう変わったんよ」という驚きが重要だ』。
松田『関東では「カープ女子」がはやっているが、入場料は相手の儲けになってしまう。そこで今年は新たな試みをする。4月、ファンクラブ会員150人を弾丸バスツアーで広島に来てもらう。入場券と食事代で6,500円払ってもらえば、往復のバス賃はカープが持つ。即、完売した。5月は女性限定で新幹線を使う。関東の人達に、少しでも広島に来るクセをつけてもらいたい』。
小谷野『他のクラブでやっている企画で「うちで出来てないよね」というものは素直に受け入れている。選手別の顔が入った幟を去年から始めた。スポンサーを募ったうちわも1万本以上作り、百数十万円の利益になった』。
小谷野『グッズ売上は4億円。J1では4位くらい。ちょっと身につけるようなものを大事にしている。入場料収入が5~6億円の間だから、グッズの販売収入の割合は高い。観戦環境が良くなり、スタジアムの利便性が高まれば収入増につながる。新スタジアムを街の中心部に建設したいという思いを盛り上げていくのが我々の使命』。
松田『去年はグッズで19億円売り上げた。球場移転初年度の20億円に次いで2番目。巨人戦の放映料収入が激減したのがきっかけだった。放映料は何年か前には30億円もあったのが、12、3億円まで落ちた。放映権料が落ちていくことがよく分かったから、グッズを伸ばそうと考えた。その当時2億円程度だったのを通販などで増やしていった』。
松田『FAは選手の得た権利。FAをする、という前提でチーム作りを考えている。年齢とFAの情報を入れた一覧表があって、いつも逆算しながら準備をしている』。
小谷野『うちは払える範囲内で払い、マネーゲーム的な引き留めはしない。攻撃的なサッカーをしていくというスタイルは変わっていない。だから、どういう選手を求めていくかがぶれていない。近年取った選手も何年も前からリストアップしていた。思いつきの補強でをしないことが費用対効果を上げている』。
小谷野『私は金融業からの転身だが、人々が漠然と思っているアイディアを具体的な数字に置き直してみるとか、どれくらい収益が上がり、コストの負担があるとか、金融業で練られた思考が持ち味かも。金融業界での数字で物事を考える習慣は、クラブの運営に新しい基準を与えるという意味では貢献出来ていると思う』。
松田『若い時、自動車メーカーに勤めたが、クルマを作るには何年も先を考え、市場を考えてデビューさせないといけない。それと同じで、野球チームも長期的なプランを持ち、マーケットの規模など先のことを考えてチーム作りをする必要がある』。 (参考: 日経MJ『広島沸かせる強い経営』)
共に『広島』という地方都市にフランチャイズを置くプロ球団。共に艱難辛苦をくぐり抜けてきた共通項。共にそでれも優勝杯を手にした歴戦の勇者。智、よく剛を制する。(^.^)
★これぞプロ野球観戦の醍醐味、でしょうねえ、昨夜のカープ対ヤクルト。カープの先発はドライチの大瀬良。切れがよく散発4安打の投球中、6回に唯一隙が出て。1アウトの後雄平を四球で出し、ミレッジを討ち取って2アウトで、昨年のホームラン王バレンティンに。1ボール1ストライクの後、3球目が真ん中低めに。打ってくださいのホームラン球。高々と夜空に上がったボールは右中間スタンドへ。
試合は、その後3対3のまま延長戦へ。22時40分。1アウトの後、バッターは堂林。この2戦、新人の田中に先発を奪われ、代打要員。代打で出て2打席目。フルカウントからやや低めの球を両足をやや折り加減にして振り抜いた球は高く上がり、レフトスタンドへ吸い込まれました。今シーズン初安打がホームラン。お立ち台に立った堂林は心なしか、目がうるんでいましたねえ。見事、堂林です。カープファンにはたまらない試合でした。大瀬良はホームランを1本打たれはしましたが、投球内容は素晴らしいです。四球にホームラン、プロの厳しさを肌で感じたでしょう。
同じように、巨人ファンもたまらない試合でした、昨夜の対横浜戦。なにせ3-8をひっくり返し、15-9で大逆転の勝利。巨人、大鵬、卵焼きを彷彿させる試合でしたねえ。ふがいないのは横浜の投手陣か、すごいのが巨人の打線か。来週はカープも後楽園で巨人戦、どういう雲行きになりますか、楽しみですねえ。スカパー観戦は本当、いいですねえ、TVを2画面にして、2試合を最後まで観戦出来るのですから。
★NHKの『朝ドラ』を、女、子供の番組と揶揄する輩もいますが、私は優秀な番組だとかねてから評価しています。先週終わった『ごちそうさん』は、史上3位の高視聴率。なによりも、戦前、戦中、戦後の歴史を目の当たりに見せた点で有益と思いますねえ。
今や日本国は、飽食の国、満ち足りた国です。が、少し前までは食に困り、職に貧した国だったのですね。『おしん』などは、その日本人がたどったDNAを若い人達に伝える役割をしています。4月からの新朝ドラは『花子とハナ』。『赤毛のアン』など英米児童文学を翻訳し、日本に紹介した『村岡花子』の半生を描いたもの。甲府の小作人の家に生まれ、食べるものにも貧する環境を跳ね返し、偉大な仕事をした花子が、閉塞感漂う日本社会を突き抜けさせる若い人達のエネルギー源になれば幸いですねえ。忘れてならないのは、日本はすこし前までは飢えにあえぎ、貧しさに泣いていた国であったという事実です。
■今日の画像は、『サヨナラホームランを打ち、本塁で菊池に抱きつかれる堂林翔太』と、『桜咲く』です。一気に咲いた今年の桜。吉島公園などの桜です。自分撮りを楽しむ少女達がとても可愛いです。(^.^)