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Channel: Freeman 雑記帳・広島
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名スカウト列伝木庭教⑪終『一家がころっと参ってしまった、長嶋清幸外野手』

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★今回の画像は、広島市西区の鬼が城山、~セ笋旅イな鬼が城山の竹林、δ詐紊ら市内、Щ格△ら美鈴が丘団地、┿穫爾瞭珊埣和◆↓スミレの群生、です。
長嶋清幸。1979年秋、ドラフト外で広島カープに入り、長い選手生活を送っている。カープに11年在籍し、その後中日、ロッテ、阪神を渡り歩き、阪神の打撃コーチも努めた。切れ味のいいバッティングと外野守備のうまさを記憶する人も多い。

★★長嶋は静岡の自動車工業高校(現静岡高校)の出身であるが、木庭がこの選手を発見したのは高校2年の時である。静岡県大会の日で、球場は草薙球場だった。たまたま早く球場に着き、その折やっていたチームの一方が、長嶋が投げ、4番を打つ自動車工高だった。投手としては箸にも棒にもであったが、バッティングが目を引いた。柔らかく構えた位置からすぱっと降り出す。コンパクトな振りはきれいな円の軌道を残す。理想的な振りである。足も速い。

長嶋を追うにつれ、木庭の耳にもこの若者の風聞が聞こえてくる。どうやら、『札付きのワル』だと言うのである。そりゃ面白いじゃないか―そう木庭は思った。長嶋によれば、中学時代から『田舎の暴走族まがいのグループの一員』であり、警察のやっかいになったことも何度もある。野球とやんちゃ―十代の半ば、同じ比重で打ち込んだ対象だった。近所で『長嶋』という名前を知らない人はなかった。野球ではなく、後者であった。ワルがいい―木庭がよく口にした言葉である。ワルとは『やんちゃ』ほどの意味である。

長嶋の指名はドラフト外だった。木庭によれば、長嶋の力量を評価しなかったのではなく、他球団の指名はあるまいと踏んだ上での選択だった。ドラフト外なら契約金も安くつくという魂胆はなくはなかった。案の定、他球団の指名はなかった。ドラフト会議が終わった直後、木庭は長嶋の自宅に電話をした。直接連絡するのはその時が初めてである。ドラフト外で気分を良くする選手はいない。『とにかく明日、自明選手に先立ち自宅にうかがいますから』。そういって木庭は電話を切った。

長嶋によれば、木庭の演説で一家全員が『ころっと参ってしまった』そうだ。長嶋の記憶では、木庭の言い方は率直かつ具体的だった。『お父さん、お母さん。こういっちゃ失礼だけども、息子さんはヤンチャ坊主です。色々調べさせてもらいました。この子が東京や大阪の都会の球団に入ればどうなるか、まずはろくなことになりゃせん。広島だってネオン街はありますが、なぁに心配することには及びません。東京には映画スターもおれば歌うたいも大勢いる。スターがたくさんいる所です。広島は田舎だからスターと言えば野球選手くらいのものなんだ。ネオン街で遊びほうけておればすぐファンから通報が来る。おちおち酒も飲んでおれん土地柄なんです。この長嶋君にはもってこいの球団だと思っておるんです・・・』。

こういう言い方をする人物は長嶋には初めてだった。両親も親戚の人達もポカーンとした顔で聞いている。木庭の演説が終わった時、一家全員『よろしくお願いします』と頭を下げていた。長嶋には阪神が気になっていた。田丸スカウトが、ドラフト外でも必ず採ってやると熱心に誘ってくれていたことである。長嶋は阪神ファンであり、阪神から接触があれば文句なしに行きたいと思っていた。

田丸との約束を木庭に話してみた。木庭の表情がちょっぴり厳しくなった。『ふーん、事情は分かった。で、仮契約かなにか交わしているんかい』『いや文書での約束はありません』『じゃ全く問題ない。今ここで仮契約しておこうや。それでもうごたつくことは何もないから』。飲まれたように、長嶋、親権者の両親が仮契約に判子を押した。後日、田丸から連絡があった。長嶋が事情を話すと、田丸はひどく悔しがった。『いやぁ、残念だな。岡田に手を取られてなぁ。それが済めばすぐ駆けつけようと思っていたところだったんだが・・・』。

後日談。まだカープとの仮契約が表沙汰になっていない時、タイガースのスカウトは、静岡市内のレストランに長嶋を誘った。長嶋はやってきたが、豪華なフランス料理を前にして、頭が痛いとかでろくに手をつけずに早々に帰ってしまったと言うのである。この件、木庭は長嶋から相談を受けている。こうアドバイスした。『いろんな球団と会うのも参考になるだろう。契約のことには触れずにな、思い切りご馳走になって帰ればええ。何事も勉強だ』。―あのワルもさすがにレストランの料理に胸がつかえてたと見えるわい―そう思うと木庭は可笑しくてならなかった。

★木庭教: 1926~2008年。享年81歳。山本、水沼、三村、池谷、金城、正田、らの獲得に辣腕をふるい、また達川、高橋、川口、大野、長嶋、紀藤など埋もれていた無名選手の獲得に努力し、カープ黄金時代の礎を築いた功労者。  (参考:後藤正治著『スカウト』)

★大学で奨学金を受けた人達が生活苦から返済に困る現象が多発していることから、『給付型奨学金創設』の動きがあります。が、私は反対します。私自身奨学金を受け、完済しました。奨学金は親の収入、本人の学力を審査の上、決定されます。おおむね成績の良い者順に受給者に。そして成績の良いものは普通ちゃんとした仕事につき、返済能力も十分あります。問題は成績がよくないのに奨学金を受け、就職もままならないから返済金を焦げ付かす輩。提案者達は『教育機会の公平』を旗印にしていますが、それを言うなら『能力の応じた教育機会の均等と公平』として欲しいですねえ。今の大学生の少なくとも1/4は能力的に不適格な者が大学の経営事情から入学を許されているものですから。まさに、ポピュリズムの極致ではあります。

★政府がこの度策定した『一億総活躍プラン』に、『希望出生率1.80』と。何たる愚作、何たる遅れ。特殊出生率が1.80を割ったのが1978年、そしてボトムが2005年の1.26。この27年間厚労省、政府は一体何をしていたのか。有効かつ迅速な手だてもなくズルズルと。今だ待機児童が多く、保育士不足が目立ちやっと手当をすると。根源的な改革・政策なくして1.80は不可能と存ずる。親方日の丸の役人共がやることは、江戸時代の藩幕体制よりも愚劣で悪いと言ったら、言い過ぎかえ、安部晋三殿、塩崎恭久厚労相殿。

★醜いねえ、舛添旦那。次々に出てくるチマチマした政治資金不正疑惑。これが天下の東大をトップクラスで卒業し、政界を泳いだ人間のオソマツな一席なのか。石原慎太郎氏は『彼は結婚、離婚を何回も繰り返し、資金難だからねえ』と揶揄しました。本当、日本の恥、首都東京、オリンピック東京の恥、舛添旦那ではあります。会見でも『第三者に調査、判断してもらう』とオウム返し。こんなこと、大人であれば世間常識から簡単に判断できるはず。それとも舛添旦那は世間常識を持ち合わせていないのか、これが正解かねえ。全く困ったもんだ。『ノブレス・オブリージュ』という言葉を東大では教えないのかなあ。これまた不思議。

★民進党が消費税の増税延期と軽減税率廃止の法案を衆議院に提出。増税延期は現下の経済状況に照らし至極当然。軽減税率廃止は金持ち優遇の結果となる制度なので廃止し、低所得者層への給付型税制に切り替えると。これも至極当然なもの。少しは世のためになる気概を見せた民進党ではあります。

と、どうやら安部首相も増税延期論に組みした様子。サミットで『リーマン並の世界経済の危機』をぶち上げ、増税延期論に舵を切ったようです。まあ、当たり前、至極当然なことではありますが。しかしまた政府の赤字が増えるねえ。

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