<1944年5月22日月曜日>
緊張は今や頂点までに達しようとしています。とはいえ、私たちが『いいオランダ人』と見なしている人達全員が、必ずしもイギリスに信頼感を持ち続けている訳ではありません。上陸作戦を楯にとって、しきりに脅しをかけるというイギリスの今のやり口が、必ずしも全員に巧みな戦略として支持されている訳でもありません。そうなんです、誰もが見たがっているもの、それは行動です。今こそついに立ち上がった連合軍の、華々しい、英雄的な行動なんです。
しかしどんな国も、無益に自国民を犠牲にすることはありませんし、そうはしないでしょう。他国の利益のために、そうすることはあり得ません。イギリスだって、そうはしないでしょう。上陸作戦はいつかは行われ、解放と自由とがもたらされるでしょうが、その時期を決めるのはイギリスであって、他の被占領各国ではないはずです。
もう一つ、それを聞いた私たちにショックを与え、また遺憾にも思わせたニュースがあります。私たちユダヤ人に対する大多数の人々の態度が、ここへきて変わってきているというものです。聞くところによると、反ユダヤ主義の波紋は今や、かつてはそんなことなど考えもしなかった人々の間までにも及んでいるとのこと。このニュースは、私たち『隠れ家』の8人全員に、深い、深い衝撃を与えました。
ユダヤ人へのこうした憎しみの原因は、決して理解できないものではありませんし、時には人間的とさえ思えますけど、でも正しいとは言えません。キリスト教徒はユダヤ人を、ドイツに秘密を売り渡したと非難しています。ユダヤ人はそうやって我々を裏切ることに手を貸した、そしてそういうユダヤ人の過ちのために、多くのキリスト教徒が、これまでの多くの殉難者達と同じ道をたどっている、恐ろしい罰を受け、身の毛もよだつ運命にあえいでいる、そう言って非難するのです。
これはみんなその通りです。とはいえ、物事はいつの場合も表裏両目を見なくちゃなりません。仮にキリスト教徒が私達の立場だったら、違う行動を取ったでしょうか。残忍なドイツ軍の手にかかったら、ユダヤ人であれキリスト教徒であれ、果たしていつまで沈黙を貫き通せるでしょうか。それが事実不可能であることは、誰だってわかっていることです。それならどうしてその不可能なことを、ユダヤ人に対してだけは要求するのでしょうか。
率直に言って、私がどうしても飲み込めないのは、このオランダ人という善良で、正直で、廉潔な人々が、どうしてそういう色眼鏡で私達を見なくちゃならないのかということです。およそ政界中で、私達ほど憐れむべき民族はいないでしょうに。それにしても、もしもこの恐ろしい脅威が現実になるようなことがあれば、その時は、今このオランダ国内に残っている少数の憐れむべきユダヤ人も、この国から出て行くしかないでしょう。私達もまた、今一度わずかな持ち物を背負ってここを出、この美しい国から、立ち去ってゆかねばならないのです。
私達はオランダという国を愛しています。祖国を持たないユダヤ人である私は、今までこの国が私の祖国になってくれればいいと念願してきました。今もその気持に変わりはありません! じゃまた、アンネ・M・フランクより
(参考: アンネ・フランク著、深町真理子訳『アンネの日記・増補新訂版』文春文庫)
『アンネの日記』。映画では『ミリー・パーキンス』が主演した記憶があります。『アンネの日記』は、1944年8月1日で終わっています。8月4日、アンネの隠れ家の入口にナチス親衛隊らが車から降り立ちます。誰かが密告したに違いないのは明らかでした。姉マルゴーとアンネの姉妹は、1944年10月末、リューネーブル荒地ににあった収容所に送られています。この収容所は極度に衛生状態が悪く、1944年から45年にかけての冬には、チフスの大流行により、数千人の収容者が死亡しました。こうした状況の中で、まずマルゴーがチフスで亡くなり、さらに数日後にはアンネも姉の後を追いました。姉妹の死亡日時ははっきりしていませんが、おそらく2月末か3月初めと推定されています。2人の遺体は、他の収容者の遺体にまじって、死体投棄穴に埋められているものと思われます。
この日記、5月22日はアンネはまだ14歳。読んで驚くのは、清廉な気持がストレートに現わしており、またそのボキャブラリー語彙の豊富なこと。とても14歳の少女の日記とは思えません。ユダヤ人殺害の狂気の渦の中で亡くなった少女『アンネ・フランク』。映画『アンネの日記』は、ミリー・パーキンスが主演し、私も若き頃観ました。感動と同情が胸に迫りました。二度と人類の歴史でこのようなことがあってはなりませんが、カンボジアではポルポトによって200万人もの同胞が殺害される惨事が起こっています。北朝鮮でも同様な惨事が起こっている可能性が大きいですねえ。まこと人間の狂気とはこのようなすさまじい惨状を引き起こすことなのでしょうか。
『増補新訂版』は、これまで載せていなかった部分、人種偏見や性的などのものを、父親が許可し、改めて刊行された最終版のものです。
★さあ、サッカー天皇杯準決勝戦です。サンフレ-FC東京、横浜-鳥栖。私の予想は、サンフレと鳥栖が勝ち、元旦の決勝戦、と見ますがどうでしょうか。鳥栖が横浜に勝つ要因は、3つ。まずマルキーニョスが欠場すること、そして準々決勝であの絶好調の川崎に鳥栖が走り勝ち、延長戦で下したこと、そして最大の理由になりますが、準々決勝でJ1降格となった大分に横浜が大苦戦したこと、です。どうやら横浜の勢いもリーグ最後の2戦で落ちてしまった印象を受けます。テレビ局としては、決勝戦はサンフレ-横浜を期待するでしょうねえ、視聴率の関係で。O(^-^)o
★広島でも寒さが一団と厳しくなってきました。昨日は周囲の山々は雪をかぶり、昼間も冷たい風が吹き荒れて。冬将軍到来ですねえ。これから2ヵ月程度、寒さに負けない頑張りが必要です。一番寒いのは1月末から2月の初め。それ以降は『一雨毎の暖かさ』に変わります。しっかり食べて、しっかり運動して、しっかり睡眠をとって、この冬を越したいですねえ。(^.*)
★韓国の鉄道スト、泥沼ですねえ。政府が新路線を、鉄道公社子会社として設立する方針を、公社の民営化だと反対する労組。これに対し、政府は子会社設立の許可を出し、労組の反発が一層激化。対立は越年し、民間労組全体対政府の大対立に。朴槿恵大統の支持率も50%を割る惨状。韓国よお前はどこへ行く、です。
■今日の画像は、『入山料、任意で千円、来夏本格導入される富士山』と、『オシロイバナ』『ハナニラ』『白いヒガンバナ』です。富士山の姿がとてもすがすがしいです。(^.^) (昨日のアップからのアクセス件数は、559件でした)