僕は1935年9月1日、今の中国藩陽市、旧満州国奉天に生まれた。おやじの『開作』は、東京で苦学して歯医者になり長春で開業したが、僕が生まれた頃にはもう止めていた。そして政治活動にのめり込んで。満州青年連盟長春支部長を努めていた時に、関東軍作戦参謀の石原完爾さんと板垣征四郎さんに目をかけられ、やがて親しく交わる。二人の名前から1字づつもらい僕に『征爾』と名付けた。出生の知らせを聞いた時、丁度二人と一緒にいたらしい。
指のケガでピアノが弾けなくても、音楽はやりたい。ある日、日比谷公会堂でピアニストの『レオニード・クロイツァー』が、ベートーベンのピアノ曲『皇帝』を弾きながら、日本交響楽団を指揮するのを聴いた。ゾクゾクした。その頃、四ッ谷の聖イグナチオ教会でパイプオルガンを聴き、胃袋がぶるぶる震えた。同じような感動があった。これだ!と思った。
本当に指揮者を目指すか、すごく悩んだ。そんな様子を見ておやじはこっそり、担任の今井先生に相談したらしい。『彼はピアノより指揮者の方が向いていますよ』。飲み屋で先生が断言したもんだから、おやじは安心し、僕が指揮者になるのを応援するようになった。随分経ってからその事実を知り、先生に確かめた。『実はあの時、指揮者がなんだか全然知らなかった』と言うんだから、全く笑い話だ。
一方、おふくろは『うちの親戚に指揮者がいるよ』と教えてくれた。おふくろの伯母のおとらさんの息子がチェロ弾きで、指揮もやるという。名前を『斉藤秀雄』といった。一人で麹町のお宅を訪ねたら、うんと怖そうなやせた人が出てきた。手紙を差し出して『弟子にしてください』と頼んだ。『普通は親と一緒に来るもんだ』とあきれていたが、『1年後に桐朋学園の音楽学校を作るから、そこに入りなさい』とのことだった。
1952年、いよいよ桐朋学園の音楽高校に入学。斉藤先生はめちゃくちゃ厳しかった。指揮のレッスンはピアノをオケに見立てて行う。女の弟子の久山恵子さんのレッスンで、僕と山本直純さんが連弾した。練習が足りず、弾けないところは口三味線で『ララララ~』なんて歌ってごまかしたら、とうとう『バカにするな!』と雷が落ちた。でもあのレッスンは後で役に立ったと思う。細かなニュアンスを弾き分け、オケの音を想像する訓練になったからだ。バイオリンやチェロのピアノ伴奏もやれと言われて、すいぶんやった。
高校3年の卒業公演で桐朋オーケストラを相手にバッハの『シャコンヌ』を振ることになった。バッハの原典にはテンポの指定がない。音楽記号も書かれていない。でも先生は楽譜を読み尽くし、音楽を細かく構築した。後年、ベルリンでバイオリニストのヨゼフ・シゲティの引退公演を聴いた時、『シャコンヌ』が先生のやり方とまったく同じで驚いた。
そして卒業式。なぜか僕の名前が呼ばれない。留年していた。単位が足らなかったのだ。しばらく声楽の伊藤先生の紹介でアマチュアの三友合唱団を指揮した。あとは斉藤先生に言われて群馬交響楽団へ行き、初めてプロのオケを指揮したのが良い経験になった。翌年、とにかくヨーロッパへ行こうとフランス政府給費留学生の試験を受けた。僕と弟分の加藤怨彦が最終審査に残った。語学が出来て優秀な加藤が受かり、僕が落っこちた。 (参考: 日本経済新聞『私の履歴書』)
今井先生も面白い人ですねえ。指揮者が何たるか知らないのに、指揮者になるのを進めたとは。運命の糸は小澤さんが指揮者になるよう紡むがれていたのでしょうねえ。(*.^)
★やってくれました『羽生結弦君(19)』、日本初の金、また男子フィギュアでの初の金。素晴らしく、すがすがしい金ではあります。仙台で生まれ育ち、大震災でアリーナが廃館。神奈川のアリーナで練習の傍ら、計60回ボランティアで被災者の前でプレー。結果、あの年齢で『自分は生かされている』と悟ります。それが、リンクへ出る時に片手を表面につき、拝礼、そしてプレーが終わった後両手で観客にお礼をするというしぐさになっています。カナダに転戦し、今回の快挙に。
羽生君はカープのマエケンに憧れています。『力に頼らないしなやかな投球フォーム。スケートの伸びのある滑りに結びつけられないか』と、研究心旺盛です。
羽生君の記者会見の言葉、『緊張しました…すいません、ホントに。やっぱりオリンピックはすごいって思いました。結果として、すごいうれしいなと思う半分、自分の中ではやはり悔しいと思うところが結構あるので。オリンピックで金メダルを獲って言うのも何ですけど、ちょっと悔しいと思います』。
本当の日本人の心を持った若者ではあります。プレーでは転倒もありましたが、後半難しい演技を成功させ加点。SPに続き2位カナダのチャンに得点差をつけての優勝です。日本の冬期オリンピックでの金は、2006年のトリノ大会の荒川静香さん(フィギュアスケート)以来のもの。10代の金メダルは66年ぶり、2人目。悲運で敗退した高梨さんの分まで取り込んだ、喜べる金メダルではあります。
★なんと、発売0秒で売り切れに。3月のダイヤ改正で廃止されるJRの寝台特急『あけぼの=上野~青森』の最終列車。3月14日の寝台乗車券が、昨日朝10時に一斉に売り出されました。が、なんと直後、0秒で完売と。定員は221人分。すごいですねえ、最終列車とはいえ、この人気。私はかつて、九州方面、東京などへの出張で多く寝台列車を使った覚えがあります。そして、仙台~函館まで『北斗星』を使いましたが、これは一度は乗ってみたい寝台列車だったのです。その『あけぼの』に乗りたい気持わかりますねえ。O(^-^)o
★今年の豪雪はすごいですねえ。昨夜からの積雪は、東京、甲府。甲府は7時現在観測史上最大の110cmの積雪。空も陸も交通は大混乱。まだ土曜日で良かったとも言えますが。豪雪被害地区の方々にお見舞い申し上げます。
★スコットランドが、英国・イングランドから独立すると。9月の投票で決まります。もし独立が決まれば、イングランドのポンド貨幣は使用させない、と牽制球を投げました。世界の先進国は、英国は長い間、スコットランドとの独立問題がくすぶっているのですねえ。領土問題は難しい。
★日産が軽自動車の生産を計画しています。為替問題回避で海外生産が拡大する中、軽自動車は国内市場の半分を占めるほどの勢いに。日産は三菱と軽自動車の共同開発会社を設立し、この分野に積極的に乗り込んでいます。そして今度は、日産の国内生産を下支えするため、また収益力を高めるため、自社生産をすると。まさに時代と共に企業の姿もどんどん変わりますねえ。(@_@)
■今日の画像は、『世界の小澤征爾◆戮函∪抄茵愡安貉魁戮任后6皀瓮瀬襪痢惘生結弦』です。ありがとう、羽生君、ですねえ、素晴らしい。(^.^) (昨日のアップからのアクセス件数は、302件でした)