2009年の年末でした。当時の前原国交相が、JALを何とかしてほしい、他に適任者はいない、と言ってきました。彼は京都の出身で、彼の東京の後援会長を務めたこともあります。
断りましたが、何度も頼まれるので、義侠心のようなものが出てきました。もしJALが二次破綻したら、日本の景気、国民にも悪い影響を及ぼす。1万6千人は希望退職などで辞めていただくけど、残り3万2千人の職を守ることは大事なことです。また、JALとANAの2社が健全な競争をすることは、利用者の国民にとって必要です。景気、雇用、競争という三つの大儀を感じて引き受けました。
最初にこう言いました。『経営の目的は、全従業員の物心両面の幸せの一点に絞ります。株主のためとかは一切ない。これまで、政府の役人、政治家の圧力を受けてきたかも知れませんが、圧力がかかれば、私が矢面に立ちます』。幹部の反応は『はあ?』というか、『何を言ってるんだろう』という感じでした。弁護士、会計士も同じでした。『更正法の適用を申請した会社の目的が従業員の幸せですか・・・』という受け止め方でした。
彼らに思想家・中村天風さんの言葉を紹介しました。『新しい計画の成就は只不屈不撓の一心にあり。さらばひたむきに、只想え、気高く強く、一筋に』。各職場の壁に、この言葉を張り出しました。考え方を一生懸命説いた結果、3年足らずの短い間に再上場という成果につながったんです。『全従業員の物心両面の幸せ』という経営理念は、京セラ、KDDIも同じです。
これは京セラの創業間もないころ、思いがけない出来事から思い至ったものです。設立3年目に事件は起こりました。前年に入った高卒社員全員がやって来て、私に要求書を差し出しました。『ボーナスは○月以上出すこと、来春の賃上げは○%以上』と。しかも『要求が受け入れられないなら、全員辞める』と。
60年安保の翌年です。当時の京都は共産党が強く、知事も共産党の蜷川虎三さんでした。企業経営者というのは、労働者をこき使って、労働者から搾取すると見てたんでしょうね。3日3晩、説得を続けました。同じことの繰り返しでしたが、とうとう最後の1人も納得してくれました。
2~3日悩んだ末の明け方、私は会社経営の目的を『全従業員の物心両面の幸福を追求する』と決めました。少し足りないと思ったものですから、『人類の進歩、発展に貢献する』もつけました。翌朝、みんなの前で理念を説明しました。ふっきれた私は正々堂々です。私心は一切なしに、みんなのために会社を経営しようと思いました。誰にも遠慮がなくなり、従業員に率直に話が出来、自信が出ました。
悩んで苦しんで、一つの心理を見いだした。この会社経営の目的は、京セラの全世界の社員、後に設立した第二電電の社員の求心力になりました。JALでも、再建を目指す社員の支えになったんですね。
(参考: 朝日新聞 稲盛和夫インタビューコラム『証言そのとき』)
稲盛さんについては何度も書きましたが、『初心、大阪大学医学部』入学試験に落ちたから、新制大学鹿児島大学工学部に進学し、今の稲盛さんがあるのですねえ。しかも、鹿児島大学で学んだ有機化学とは違った、無機化学・陶器の分野で大成功されたのですから。まさに『人生塞翁が馬』『禍福は糾える縄のごとし』です。少年、少女諸君、目の前の試験や冒険に失敗したといって、人生は真っ暗にはなりません。必ず新しい光が君たちを照らしてくれます。(*.^)
★私は2012年オフ、J2北九州の監督を辞任した三浦泰年(三浦知良の兄)のイレブンへの挨拶の言葉が忘れられません。『オリゃ、こんなクラブよりもっと立派なクラブの監督に就任する』と。傲慢、放漫、天狗の鼻です。結果移籍したヴェルディの2013年シーズンは、14勝14敗14分の13位。北九州bの16位と勝点でたったの7点差。これが泰年の言う『立派なクラブ』の戦績です。
そして昨日、長崎に1-5の惨敗。5試合目にして勝点たったの『1』で19位。J3への降格圏内ですねえ。反対に柱谷幸一監督2年目の北九州2季目は、まだエンジンがかからないものの、勝点6の16位。高木監督率いる長崎は勝点10で堂々の4位、昇格圏内にいます。ヴェルディとは雲泥の差。森保、高木監督の爪の垢でも煎じて飲んだらいかがです、傲慢指揮能力ゼロの三浦泰年監督殿。
★イオンが固定費・通信回線料込み月2,980円という、大手の半額の格安スマホの販売を開始します。通信料は別途30秒で20円加算。それにしても、本体・アプリ通信込みでこの価格はインパクトがありますねえ。私はスマホを使う計画は全くありませんので関係ないですが。(笑)
★みんなの党『渡辺党首の8億円疑惑』、真っ黒ですね。弁解の余地ありません。DHCの吉田会長が渡辺党首からのメール文を公開しました。歴然として、選挙資金の借り入れ申し込みです。往生際が悪いぞ、『渡辺喜美』。名前と違って、全く美しくなく、醜い!
★ロイター通信は、胡錦涛時代の中国最高指導部の元メンバーで、汚職の疑いで調べを受けている周永康(71)について、本人に加え親族や部下ら300人以上がこれまでに拘束され、差し押さえられた資産は1兆5千億円以上に上ると報じました。ロイターは『中国建国以来最大のスキャンダル』と伝えており、事件の余波で中国は大混乱に陥る可能性もあると。習近平政権は、貧富の差拡大、役人の汚職蔓延など、社会のひずみが国民の怒りを沸点に達するほど強めている中、これまで『トラもハエも全て叩く』とし、地位に関わりなく汚職摘発を進める方針を強調、これを実行した形。
周永康は、中国の石油業界の大ボスと、公安(警察)部門のドンという2つの顔があります。人脈は広く、石油、公安部門に多くの『子分』を配し、巨額の利権には有象無象の人々が群がったと。また、収賄と横領、職権乱用などの罪で昨年、無期懲役を言い渡された重慶市の元トップ『薄煕来元政治局員(64)』とも懇意の仲で、薄煕来が失脚し、最終処分を常務委員9人で話し合った際、周は1人だけ逮捕・起訴に反対しました。差し押さえられた資産は、銀行預金が6,100億円、内外の債券が8,400億円、アパートなど不動産300軒以上の他、金、銀、骨董品、高級酒なども没収されたとしています。
中国の大疑獄事件ですねえ。結末はどうなりますやら。本当に『トラもハエも』叩くのでしょうかしら、『中国共産党独裁王朝』の性格からして、疑心暗鬼ではあります。
■今日の画像は、その『汚職容疑で取り調べを受けているありし日の周永康』と、広島西風新都の西にそびえる『向山665mの登山道と展望地からの西風新都と広島南アルプスの景色』です。向山から西にそびえる窓が山712mへの縦走です。(^.^)