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Channel: Freeman 雑記帳・広島
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ジャーナリストの魂①『ジャーナリズムとは覚悟だ―長谷川幸洋』

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今、記者達は、政府・自治体、企業から発表される情報を伝えるだけの『伝書鳩』になりきっている。彼らはそのことが『事実』を伝える使命を果たしていると錯覚している。ジャーナリズムとは『事実』だけでなく発表情報に隠された『真実』をも伝える使命を帯びている。『ジャーナリストの魂』とは何か。実在のジャーンらリストを挙げ、その核心に迫ってみたい。

■『長谷川幸洋』1953年千葉県生まれ。慶大卒、77年中日新聞入社、東京本社(東京新聞)経済部、ブリュッセル支局長などを経て、論説委員。現在論説副主幹。著書『日本国の正体』で09年の山本七平賞受賞。

特定秘密保護法が市民の思想の自由を侵すとか、あるいは戦前の治安維持法の復活というようなことが、マスコミでよく言われました。が、これははっきり言ってナンセンス。大げさすぎる。そもそも核心をついていないと思います。マスコミの側で言えば、政府に秘密があるのは当たり前。その秘密にどうやって迫っていくかということは、実は法律があろうとなかろうと一緒なんですよ。あのスノーデンの機密ファイルを収録した『暴露』という本が刊行されましたが、スノーデンは当然訴追されることを覚悟の上で内部告発し、それをガーディアンの記者もそのリスクを十分承知の上で、チャレンジしている訳ですよね。だから日本でも特定秘密法が出来たからといって、じゃあそれでひるむのか、と。逮捕されることを覚悟の上でやるのか、やらないのか。それは政府の問題でなく、ジャーナリズム、ジャーナリストの問題だと思いますよ。まさに『ジャーナリズムは覚悟』、即ち空理空論ではなく『現実への対応、現実主義』だと言えます。

私は阿倍政権に対して基本的には是々非々です。政府からの独立がジャーナリストの生命線だと思っています。が、ただややこしいのは、結果的に私の考えが政府の考えている方向と同じようになる場合もある、と言うことです。消費税の引き上げについては、今でもやらなかった方が良かったんじゃないかと思っているし、原発政策だって阿倍政権は推進派だけど、私は脱原発。そこは阿倍政権と全く違う。

もっと言うと、政府や政治家、霞ヶ関の官僚が自ら提起しない問題を、メディアの側が『これはこうじゃないか』と提起する作業が非常に重要なんです。集団的自衛権をめぐる問題もそう。政府の人間は『日本に基地があるから集団的自衛権を容認しています』なんて絶対に言いませんよ。そんなことを言えば、国会論議がめちゃくちゃになってしまうから。でも、本音ではそう考えている。だからこそ、そういう政府が言えない話をマスコミが書くことが重要なんです。そんな作業が今のメディアには決定的に欠けていますね。

自分自身、官僚の言いなりのような記者『ポチ』だった時代もあります。46歳で論説委員になって、最初のうちは取材記者の延長線上でした。財務省の人達とも徹底的に付き合いました。そして出した『経済危機の読み方』で、『日本の消費税は25%にすべきだ』と書いて。そうしたら財務省が大喜びをしてね。主計局にいた木下康司さんがスカウトに来て、財政制度審議会に臨時委員として入ることになりました。審議会の委員になることで政権に取り込まれるという批判もありましたが、あのときは『役人って、何を考えているのだろう』と思う好奇心の方が強かった。

私はもともと経済学に関心があって、入社12年の時、ジョンホプキス大学院に留学し、帰国後それこそ八重洲のブックセンターの棚にある経済学の教科書は片っ端から読みました。日本のジャーナリズムの問題点は、残念ながら経済学の基礎的な素養が欠けている記者が多いこと。

実は、『官僚との死闘700日』を書いたときに『もう記者を辞めてもいいかな』(2008.7)と思っていました。雑誌の世界の仕事をしていくうちに、『これで食える』という自信がついたのですね。ところが『官僚との死闘700日』を書いたら、ウチの最高顧問で会社のオーナー・大島宏彦さんに『名古屋に講演に来い』と呼ばれましてね。その時小部屋に呼ばれ、『長谷川君、この本面白いね。でもね、こういう本を書くと、だいたい会社を辞めちゃうんだよ。でも、キミは辞める必要はない。これから好きなことをやりたまえ』と言われました。まさに中日新聞・東京新聞のすごい所ですね。

私はもうずっと、基本的には社内の人間とはダラダラと付き合わないことにしています。社内の半径3mの戦いで戦えなければ、10mや20m、即ち社外では戦えません。これは鉄則です。みんな妥協してしまうのは、結局半径5mくらいの世界で孤立したくないって思うからです。例えば、私は昼食はいつも必ず一人で食べます。夜は社内の人間と飲みに行かない。そして審議会の委員などの形で発言したり、総理と話をしたり、新聞や雑誌に書いたりしているのは、最初に自分の立ち位置があって、こうあるべきだ、というスタンスがはっきりしていることです。もし問題があるとすれば、取材相手と近寄り過ぎた結果、相手の言い分をそのまま伝える『ポチ』になってるのではないか、ということであって、論や説を持っている人間が審議会であろうと総理だろうと、自分の意見や考えを言う分には問題はないでしょう。

いろいろと問題山積の今の日本のジャーナリズムを変えるには、例えば、年俸制の記者を5人か10人雇って、『君たち、何をやってもいいよ』と。翌年の契約更改はパフォーマンスですよ。こんなのやったら面白いでしょうねえ。取材手法の問題もあるけど、はっきり言って、今の経済ジャーナリストはあまりに不勉強、素養としての基礎的な経済の理解が足りないと思います。今の記者教育はサツ回りから始まって『とにかく取材先と仲良くなれ』と。これは全く間違いですね。本当は『読者に信頼される記者になれ』ですよ。取材先に信頼されて、どうするの?『ポチ』になるだけじゃないの。
  (参考: 大鹿靖明著『ジャーナリズムの現場から』)

★この長谷川さんの話を読んで、頭にピンときたのは、この中日新聞・東京新聞の大島オーナーの懐の深さ、思考の広さ。あの読売新聞のナベツネとは比較にならないほどジャーナリズムを愛している人でしょう。ナベツネは、気に入らない社会部の記者を一掃し、政治部優位の体制に仕立てました。さらには、大阪読売で7年続いた読者コラム『窓』を閉鎖させ、5年続いた戦争展にも幕を。理由は、紙質の向上。戦争や差別問題などを書く記者は左翼だと。それをおもんばかった大阪読売の社長坂田が、元社会部長黒田清(故人)、記者大谷昭宏(現テレ朝Jチャンネル解説者など)を退社に追い込みました。そして、まさに阿倍政権に取り入り、ジャーナリズムの腕章をしながら、その心意気を投げ捨てています。しかしこれでよく読売内部が黙っているものだと感心しますねえ、読売新聞記者の皆さん。

★戦後70年の節目に出される予定の『阿倍談話』。その内容に、中国や韓国から熾烈なリクエストが。『謝罪しろ』『慰安婦問題を解決しろ』。もうたくさんですねえ。日本の首相が談話を出すのに、周辺国からあれこれ言われる筋合いはない。自分たちの未熟さ、蛮行さを棚にあげ、平和国家日本に指図します。

中国の習主席は、先のロシア戦勝70周年の式典に参列し、中国はファシズムを徹底的に排除する、と語りました。『ファシズム』とは、かつてドイツ、イタリア、日本がとった全体主義や軍国主義を指すのであれば、現代ではまさに『中国とロシア』こそ、この『ファシズム』の定義にかなった国家ではないでしょうか。一切中国は『一党独裁』という、まさにナチをも越える政治体制の国、『ファシズム国家とは中国なり』、と私は習主席にその言葉を投げ返します。

★それにしても、北朝鮮の金書記による粛清はすごいねえ。すでに40人近くが抹殺されたとか。居眠りしたり、口答えをしただけで、即死刑。こんな恐怖政治は金体制の死期を早めるだけでしょうねえ。金書記は国内反乱の恐れで、ロシア戦勝70年式典も欠席。なにやら起こりそうな北朝鮮です。韓国李大統領殿、北朝鮮の崩壊を念頭に対応の準備をしてくださりませ。北の崩壊に際し必要になる膨大な財政面の支援は中国から受けて下さいね、決して仮想敵対国である日本を頼らないように。(>θ<)

★『スポーツ庁』発足。趣旨に反論はしません。国威高揚、国民の健康向上、オリンピックを目指すなどなど。が、本当に官僚は好きだねえ、人のお金=税金を躊躇なくバラマキ使うことが。どこかで節約してくれよねえ、阿倍官房長官でなかった、菅官房長官殿。(>θ<)

★今日の画像は、山口県の最高峰、寂地山の麓にある寂地峡。素晴らしい滝たち、『五竜滝』が。見事な渓谷美に次々と流れ落ちる滝たちに感動ものでした。広島県にはこんな滝は見あたりません。\(^o^)/

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