今、記者達は、政府・自治体、企業から発表される情報を伝えるだけの『伝書鳩』になりきっている。彼らはそのことが『事実』を伝える使命を果たしていると錯覚している。ジャーナリズムとは『事実』だけでなく発表情報に隠された『真実』をも伝える使命を帯びている。『ジャーナリストの魂』とは何か。実在のジャーンらリストを挙げ、その核心に迫ってみたい。
■『角幡唯介』ノンフィクション作家、冒険家。1976年北海道芦別市生まれ。早大政経学部卒、同大探検部OB。03年に朝日新聞社入社し、08年に退社。『空白の五マイル』で大矢壮一ノンフィクション賞を受賞、『アグルーカの行方』で講談社ノンフィクション賞を受賞。
■早稲田大学に1995年に入学し、探検部に入ったのがきっかけで、登山や探検をするように。2001年に卒業したのですが、はなから探検家になるつもりだったので、就職する気はまったくなく、土木作業で稼いでは外国で登山や探検をしていた。そんな状態が2年続く。当時付き合っていた女性が通信社に入社し、地方勤務となった時、不安が湧いて。そこで松本清張の小説ばりに、新聞記者をと。NHKにエントリーしましたがあっさり落ちて、彼の経歴が珍しかったのか朝日に受かった。
■初任地の富山では関西電力の黒部『排砂』問題を取り上げたりしました。この排砂は、黒部川渓谷のダムにたまった砂をサルベージではなく、そのまま下流に流し込むという乱暴なもの。この影響で山が汚され、海はヘドロで汚されて、関西電力の行動に義憤を感じていたのです。マスコミは関電になめられている、と。地元紙を含め、最初の年には報道したものの、その後はベタ扱いで、今年もやっているよと。ここで考えるべきは『事実』とは何か、なんですね。役所や警察が発表した内容は、『役所や警察が発表した』という事実だけなんです。それをあたかも発表内容が真実であるかのように書く。これで事実として認定したことと見なしていいのか。冤罪報道もそういうことの連鎖によって生まれます。
排砂問題を取材していた時の僕の中には、『彼らは嘘をついている』という意識がありました。彼らの持ち出すデータとその解釈には恐らく欺瞞があって、それをいろんな人に持ちこんで検証出来ないかと考えました。しかしなかなかうまくあばけず、自分の中でも葛藤がありました。その後北埼玉支局に転属され、荒川を題材に『新荒川時代』として30回の連載を書きました。貧酸素化が進んだ荒川のヘドロの中をタンクを背負って潜水しましたよ。
その朝日新聞を辞めたのは、チベットの秘境ツアンポー渓谷に再度挑みたかったのと、新聞記事の体裁や書き方に飽き足らなかったから。もっと自分の文章を書いてみたかったのです。朝日新聞を辞めた年の年収が998万円で、申し分ありませんでした。辞めることを決めてからの2年で800万円ほどためて。5年間の朝日時代には、荒川の連載、雪庇セッピ事故、黒部川の排砂、熊谷市の養蚕業の盛衰などいろんな連載をやりました。本を書くときの構成の作り方では役立ちましたね。
朝日に入る前、1回目のチベットのツアンポー渓谷を探検しました。その時に行けずじまいだった残りの空白部分を何とか踏破したいと、辞めた後09年に再度単独挑戦しました。この空白部分は、まだ誰も踏破したことのない未開の渓谷。この探検を書いたノンフィクション『空白の五マイル』が大宅壮一ノンフィクション賞を、次作『雪男は向こうからやってきた』で、新田次郎文学賞を、そして北極探検を書いた『アグルーカの行方』で講談社ノンフィクション賞を受賞しました。
どれも大変な探検でした。アグルーカは、北極探検で129人全員が死亡した英国フランクリン隊全滅の謎を。北極での行動中はPCを持っていけないので、記録はノートに手書きでした。読み物としてはよく出来たと思いますが、『空白の五マイル』を越えられなかったな、というのが自己評価。『アグルーカ・・』は、事前にこういうことが書きたいなあと思っていて、ほぼその通りのことが書けた本なんです。
資料は結構集めます。『アグルーカ・・』で集めた資料は半端じゃなかったです。カナダの図書館でコピーしまくって、それに本も何十冊も。英語の本だけで40冊か50冊ありました。私が一番やっていて面白いのはこの分野。この分野なら自分がプレーヤーになれるし、書くことも出来ます。関心がないことを取材して書いても、読んでいて面白いものにはならないと思う。結局ノンフィクションを書くには、二つしか方法はないんです。誰か他人から聞くか、自分が見聞したことを書くか、です。
最近は新聞を読んでいて、歯がゆいですね。特定秘密法案の報道は初動が遅く、大騒ぎしたときにはもう成立間際。集団自衛権の問題でも同様な思いです。記事が常に受動的に作られ、企画力が少々弱い。主体的に掘っていく姿勢を持つ記者、編集者が少なくなった印象で。この点、人材育成がまずいのでは、と感じますね。ジャーナリストは義憤みたいなものが背骨にないとダメじゃないかと思います。
もう自分は新聞で何かを書くタイプとは思っていません。字数の制約があるので書きたいことが書けないし、一つのテーマを物語化する方に興味が移ってしまったので。今は書く場所は文芸誌になっています。週刊誌もエッセイ程度の分量しか載らないので、長いものを書かせてもらえるところというと文芸誌しかないのが実情です。 (参考: 大鹿靖明著『ジャーナリズムの現場から』)
★私は角幡さんの『空白の五マイル』を読み、魅せられ、一気に読破しました。未踏のツアンポー渓谷を命からがらの探検で、チベット部落にたどり着いたときのほっとした感情は、読み手を巻き込みます。このツアンポーにはあのモンベル創業者の辰野さんもトライを心しましたが、断念しています。『アグルーカ・・』は、さらに熟達した書き物で、特に古い時代の探検で亡くなった人々の足跡、地理を追うという点で、これも一気に読みました。過去の記録を詳細に全て把握している所が素晴らしいです。
面白かったのは、北極圏では日本のアルプスで天然記念物になっている『雷鳥』がそこかしこに乱歩していると。食料が尽きたら、これが食料になったとも。私に言わせれば『とことん人生』であり、未踏の探検、目標が高い探検を常に頭においている素晴らしい探検家兼ジャーナリストだと感服します。
★そういえば、かつてNHKの記者から、企業で社会性の認識欠如、透明性の欠如、トップの専横、情報を隠すなどをされた場合、私憤がもくもくと涌き、何か事件などあるとこれが 『公憤』に変わる、と。雪印などその典型で、平生往生だったのでしょうねえ。思い当たります。 (*^_^*)
★外務省は、日本の国際貢献の取り組みを国際発信するため、海外でのテレビCM活用に本腰を入れます。
3~5月に米CNNで初放送したCMへの反響が大きく、国際世論の喚起に効果があると判断して。今年度中に数本のCM動画を新たに作り、海外のテレビで放送する方向です。戦後70年を迎え、歴史問題を巡って宣伝戦を強める中国や韓国に対抗する狙いがあります。
CNNで放送したCMは、〈1〉アジアの経済成長や平和構築などへの貢献策をまとめた「戦後国際社会の国づくり」編〈2〉途上国の女性の社会進出支援を紹介した「女性が輝く世界をつくる」編――の2本。2分間にわたり、画像や動画を英語で説明している。3月14~27日に北米、アジア、欧州、中東、アフリカで放送したほか、4~5月にかけての安倍首相の訪米に合わせ、北米で一部再放送しました。反響は上々で、阿倍首相の議会演説と相まって、日本の素顔が改めて認識されているようです。ガンバレ、外務省。
★戦後70年の節目に、今夏阿倍首相の談話が発表される予定です。中国、韓国はこれに内政干渉をも辞さず、歴史認識、過去の過ちの謝罪を求めています。阿倍さんは強気の姿勢を崩していませんが、ひょんなことから、阿倍さん自身が誤った歴史認識をしていることが判明。共産党の志位委員長が5月20日の国会でただしました。2005年7月号のVOICEの対談で、当時自民党幹事長代理だった阿倍さんは、『ポツダム宣言というのは、米国が原子爆弾を2発も落として日本に大変な惨状を与えた後、「どうだ」とばかりに突きつけたものだ』と語っています。
ウッソでしょう、阿倍さん。
7月25日 米軍司令部8月3日以降に原爆投下の指令
7月26日 ポツダム宣言発表
7月28日 日本、ポツダム宣言拒否
アメリカも原爆投下を、ポツダム宣言を承諾しない日本に、承諾を迫るものだったと抗弁していますが、ポツダム宣言の前に原爆投下を指令していた事実から、アメリカの抗弁が嘘であることが分かります。それにしても、だめ阿倍ですねえ。戦後レジームの看板が泣きますねえ、こんな基本的な事実を知っていないのですから。困ったお坊ちゃまです。
★拓殖大学総長・渡辺利さんは、韓国の社会状況についてこう語ります。韓国は所得水準からみれば先進国であり、現にOECD加盟国である。しかし、先進国というにふさわしい内的成熟を経ないまま衰退化に向かい始めた奇妙な先進国なのである。長らくこの国を眺めてきた私も、韓国社会の閉塞感がこれほどまでに高まった時期を他に知らない。国民の政治的凝集力を強めて辛くも社会の崩落を免れるには、無謀と知りつつも反日運動というポピュリズムに努めるより他に選択肢はないのであろう。『明治日本の産業革命遺産』の登録に対するいかにも度量を欠いた韓国政府の反対などには、日本人はもう嫌悪感しかない。韓国の反日は社会に深く潜む病理的閉塞の表れなのである。まさに、沈み行く韓国、繁栄の日本をねたむ、の図ですねえ。韓国の国民こそかわいそうです。
★今日の画像は、ダッチアイリスなど春の花々です。一斉に咲く春の花たち。とても可愛いです。´▲瀬奪促▲ぅ螢后↓G者の秘密(アフリカキンセンカの改良種)、ぅ好僖薀シス、ゥオアマナ、Ε淵薀鵐ュラス、Д爛薀汽ツユクサ、┘戰襯侫薀錙次O(^-^)o