★今日の画像は、大ヒットしたアニメ『この世界の片隅』の主人公『浦野すず』が幼少時代過ごした江波の町。すずがよく訪れた『松下商店』はいまだ健在、江波の港、丸子山不動院、海神宮、海寶寺、当時は木造だった住吉橋など、すずの懐かしい世界をアップした。右下をクリックすると、大きい絵が見られます。そして、この度の北九州水害で大被害を受けた朝倉市の被害状況、昨夜カープ、9回に代打逆転3ランを打った新井さん。想像を絶する山津波の大発生に伴い、なぎ倒された木々が川の流水を妨げ、被害が拡大したという。被害にあわれた方々にお見舞い申し上げます。
★★昭和55年(1980)、私が高校3年生になり、運転免許を取ると、車で輝子を大京町へ迎えに行き、我が家で夕食をとった後、送って行くのが私の役目になった。家での夕食が終わると、母が車のドアを閉めながら見送る。『お母様、どうぞお気をつけてお帰り下さいませ。由香、くれぐれも慎重に運転してね。飛ばしちゃだめよ』。何度も何度も同じことを言われ、私はノロノロ運転で輝子を送った。
大学に入学すると、輝子から『由香、銀座の「浜作」で、お昼でも如何ですか?』と誘われるようになった。輝子と会う時は自宅か伯父の家が多かったので、二人きりで会うのは初めてだった。『浜作』なんて聞いたことのない店だ。そこでお昼を食べ、その後『虎屋』に行くのだという。大京町の斎藤病院に行くと、普段伯父が使っている黒い大きな高級車で銀座まで連れて行かれた。『浜作』に到着すると運転手さんがドアをサッと開けた。颯爽とした着物姿の輝子が扉を開けると『いらっしゃいませ!』『いらっしゃいませ!』と威勢のいい声が飛び交い、ケヤキのカウンター席に案内された。
驚いたことに、輝子はメニューを見ないのに、すでに食べたいものが決まっていた。昼間なのに熱燗を頼み、『今日の白身は何がいいかしら?』と、主人に尋ねる。私はぼんやりとそのやりとりを見ていた。『由香は何にしますか。お好きなものを召し上がれ』。輝子に言われて、慌ててカウンターにある手書きのメニューを見ると、おつくり、焼き物、揚げ物など大まかな料理法と魚の名前が書いてあるだけで、何をどのように頼んでいいか分からない。しかも、大学生の私にはこのメニューが信じられなかった。値段が書いてないのである。『この店は一体どういう店なのだろうか?』。私は不思議でならなかった。
岩波書店の関係で、幸田露伴や寺田寅彦、斎藤茂吉などがこの店を訪れた。とりわけ谷崎潤一郎は大阪時代から『浜作』を贔屓にしていて、晩年の昭和36、7年にかけて書かれた『瘋癲フウテン老人日記』には、『浜作』で食事をするシーンが出てくる。大物作家、編集者、そして銀座を愛する紳士達が集う店だった。輝子も茂吉のお供で通うようになったらしい。そんなすごい店だということを大学生の私は全く知る由もなかった。『・・・私も祖母と同じものをお願いします』。それだけ答えるのがやっとであった。
ものの本によると、カウンター割烹というスタイルで料理を作ったのは東京では『浜作』が最初だそうだ。大正13年、大阪新町に店を構え、昭和3年、東京にも『浜作』が開店した。それまで東京には『板前割烹』はなかったから、関西からやってきた『浜作』が新しいスタイルを持ちこんだ創始者である。しばらくすると、シンプルな和食器に白身魚のお刺身や煮物などが出て来た。どれも見た目は家で食べている料理と変わらなかった。母が愛読している『家庭画報』や『ミセス』には、紅葉が飾られた華やかな料理で、籠に美しく盛られた料理が掲載されていたので、てっきり銀座の店で出されるのは、豪華絢爛な盛りつけの料理だと期待していた私は、いきなり拍子抜けした。煮物など母の手料理とさして変わらぬ味だった。ところが合鴨ロースが出て来て状況は一変した。あまりの美味しさに思わず歓声を上げてしまう。肉汁がしたたるように柔らかく、タレが甘く濃厚で、今まで味わったこともない深い味わいだ。またお吸い物のお椀も、何杯もおかわりしたくなるほどの旨さだった。
その日の夕方帰宅して、母に『今日、おばあちゃまと「浜作」という店に行ったの』と報告した。『まあ、そんなお店に行ったの?あなた、お行儀よくしていた?ママがいつも注意しているじゃない。あ―、考えただけで胃が痛くなってきたわ』。私が、『煮物はママの味を同じだったよ』と報告すると、母はもっと驚いた。翌月、再び輝子からの誘いがあり、その後も私はたびたび銀座のお供をするようになる。『浜作』を何度か訪れるうちに、この店は自分の好きな食材を選び、好きな料理法を頼む店なのだということが少しずつ分かってきた。『鰈カレイの煮下ろし』と『沢煮椀』は『浜作』の名物料理だった。鰈は、わざわざ兵庫の明石産を使っている。魚などの食材は昭和初期から航空便や貨車を使って、全て関西のものを取り寄せているのだという。
現在、三代目にあたるご主人・塩見彰英さんは『浜作』を慶応高校2年生の時から手伝っており、斎藤茂太の長男・茂一と慶応大学の同窓で1歳年下である。そんなご縁で、輝子だけでなく、茂太や美智子も通う店である。勿論父や母も好きな店であった。ご主人の塩見彰英さんと、ご主人のお母様である大女将は当時輝子をよく覚えていらした。大女将は現在85歳になられると言う。
お二人の話を聞いていると、私はタイムスリップして、一瞬、輝子と食事を共にしているような気がした。いつも輝子と私は『浜作』の昼食が終わると、店の前に待たせていた車に乗って銀座7丁目にある『虎屋』に行った。輝子は葛切が大好きだった。『虎屋』の歴史は和菓子の歴史と言われるほどだが、一流の本物の好きだった輝子にぴったりの店だった。『おばあちゃま、美味しいですね!』『美味しいわね』。着物姿の輝子はニッコリ微笑んだ。『虎屋』には何度訪れても、葛切に感動した。『美味しいですね』と何度も何度も同じ会話をした。二人は葛切に夢中になった。私と輝子と二人で、この銀座の愉しい午後を永遠に味わっていたかった。 (参考: 斎藤由香著『猛女と呼ばれた淑女』)
★中国が、国連安保理事会の制裁の対象になっていない北朝鮮の『漁業権』と引き換えに外貨を支払っている実態が明らかになった。中国は、金正恩体制の崩壊は望んでおらず、国連制裁の厳密履行を強調しつつ、制裁の枠外で北朝鮮経済を下支えしている。韓国の情報機関・国家情報院によると、昨年は1500隻が出漁、北朝鮮に33億円をももたらした。特に問題視されているのが、収益が軍の資金源になっている可能性があること。中朝間の貿易は依然活発だ。今年1~4月の北朝鮮からの輸出は、金額ベースで前年比14%増。正規ルートに加え、夜間に鴨緑江を船で往来する密輸は盛んだとの指摘もある。最近古美術品を輸入したという丹東の貿易業者は、『丹東経済の半分は北朝鮮との取引で成り立っている。中朝は共存共栄だ』と話す。北朝鮮制裁の効き目は薄まるばかりだねえ。
★どうも政治家は平気でウソをつく人種だねえ。菅官房長官は記者会見で『今治市の特区での獣医学部新設は民主党・鳩山政権時代すでに進めていたから、安倍政権独自の政策ではない』と抗弁している。これは2度、3度も言っている。ところが、加計学園の獣医学部計画のスタートは、周辺12市町村が合併して2005年に誕生した新生今治市の越智市長時代だと言う。
『市長になってからしばらくして愛媛県議を通じ、岡山の加計学園が獣医学部ピンポイントで申し入れてきた。で、西日本に獣医学部がほとんどないから特区でやれないか、となった』と越智元市長は話す。06年9月から07年9月までの第一次安倍政権でのこと。ちなみに菅官房長官は、初めて特区申請したのが福田政権時代なので加計学園の獣医学部は安倍政権時代のものではないが、福田、麻生政権下ではほとんど相手にされなかった。そんな絶望状態が一変したのは、安倍首相がカムバックしてから。12年12月、第二次安倍政権が誕生すると、下村が学部設置の認可を与える文部科学大臣に任命されたのだ。その後の経緯は、五里霧中の中、着々と加計学園は計画の実現に手を染めた。取りざたされる内閣府、文科省の接触メモは前川元事務次官も認める公文書。
菅官房長官は、加計疑惑を安倍政権から遠ざけるため、案件は民主党政権時代にいかにも起こったような表現を何度も会見で行っている。事実を折り曲げ、真実を闇に葬り、公文書を怪文書と言ってはばからない官房長官。政権内部は泥にまみれ、正しいことと、邪悪なことの判別さえ出来ない状況になっていると見られる。本当に、安倍政権は不遜、傲慢、不誠実、嘘つき、である。
★3日開かれた、民進党の調査チームの会合で、内閣府の塩見参事官が加計学園が最終事業者に決定した経緯について、記録は取っていない、と答えた。『ない』と言えば、それ以上詮索できないことを見越しての答弁に映る。なぜこんな重大な結論を出す経緯を記録していないのか、不思議と言う以上にバカげた隠ぺいだと言われても仕方ない。そこらの個人商店ではるまいし、政府頭脳の中心地に決定経緯の記録がないとは、本当、嘘をつくのもいい加減にしてほしいなあ。
★家庭の貧困、学業の貧困などが論じられる昨今、貧困家庭の半分以上は母子家庭だと言う。離婚、シングルマザーなど事情はあろうが、中途半端な人生に陥った女性達の多くが貧困に陥っている。責任の半分は男にある訳だが、離婚の原因はお互いさまの部分が大きい。拙者の人生を考えても、よく今まで離婚しなかった、と不思議な部分がある。振り返ってみると、やっぱ、かみさんの我慢、努力が大きかったなあ、と今になって感謝をしている。女性に責任を負わせるつもりはないが、夫婦関係はやっぱりお互いのいたわりや慈しみなどが必要であり、権利の主張や責任の追及ばかりしていたら、離婚の原因になると思われる。もう引き返せない人生行路、これからをしっかり前を向いて歩いて欲しい。
★森友学園問題で、国有地売却に関し国会での追及に『不当な働きかけはなく、記録に残っていない』とウソっぽい答弁を繰り返した佐川理財局長が、国税庁長官に就任する。野党からは『森本問題の国会での答弁功労者としてご褒美の出世』と批判が飛んでいる。本当、あの答弁は自民党にすりよる親派の内容で、客観的に答弁したとは思えない。番犬が猟犬に出世したのかなあ。いやな世の中だ。
★やっぱり、都議選は自民に敗北を与えたのは正しかったねえ。その後、自民党は『加計学園』の獣医学部計画をめぐり、国会の閉鎖中審査に応じることを決めた。さらに前川元文科省次官の参考人招致にも応じる姿勢を示した。民進党は、自民党が示した10日か11日の開催日程では、安倍首相が欠席するため、日程案は一旦拒否したが、この日に加え予算委員会で首相首席のもと再度開くと。まあ、しっかりやってもらいましょう、安倍晋三君には。
★愛煙家にはお気の毒だが、タバコが値上がりになる。なんと、一箱1,300円にも。でも、これはフランスの話のことで、日本ではない。フランスではタバコ関連の死者が毎年8万人に及んでおり、この現状を受けてフィリップ首相は『何もしないという選択肢はない』として、タバコ一箱の価格を現在の900円程度から1,300円程度に値上げすると。フランスの喫煙者数は非習慣的喫煙も含めて1,600万人と推定されており、これは15歳から85歳までの人口の1/3に相当する。5月に選出されたマクロン大統領は演説で、タバコを値上げすることに異存はないが、喫煙者らが安いタバコを探し回れないようにするために、近隣諸国にも同様の措置を講じるよう強く求めると述べていた。
日本ではまだ、一箱が460円程度だが、これが医療費の膨張に関与していることが証明されれば、フランスと同じように1,000円を上回る価格が出てくるだろうなあ。喫煙者様たちは、高額納税者の人達でもあり、おろそかにはできないが、医療費と引き換えとなるとまた話は違ってくるなあ。30年前に喫煙を止めた拙者にはかかわりない話ではあるが。
★『都議会を入れ替えるなんて、歴代の知事は誰もやらなかった。直近で言えば、石原慎太郎さん、舛添要一さん、猪瀬直樹さん。彼らもそれまでの都議会に文句はあっただろうけど、都議会を入れ替えるという行動までは取れなかった。猪瀬さんも都知事を辞めてから、「都議会のドン」批判を始めたけど、自分が都知事の時には都議会の問題を解決しようとしなかった』と、今回の都議選を分析するのは、橋下徹さん。自らが維新を率いた経験からか、『今回、小池さんが都議会を入れ替えることに乗り出し、成功した。自分達が都知事の時には都議会の問題を解決しようとはしなかった。今回の小池さんの成功は、普通では出来ないこと。小池さんはこの政治的資源を最大限に活用してもらいたい』と言い切る。
『今回の都議選はまさに小池さんが気に食わない自民党議員を追い出すため、また小池さんに文句ばっかり言ってくる自民党国会議員を黙らすための政治決戦だった。確かに東京都議会は、地方議会の中でもかなり醜い議会。常任委員のインターネット配信が行われていないし、政務調査活動費の領収書のインターネット公開もまだ行われていない。それでいて議員に公用車がある。これまでの都議会はこのようなことを放置していた。それに小池さんに対するこれまでの対応も有権者は厳しく見ていたんだね。小池さんが知事に就任した時に自民党に挨拶に行ったら、握手をしないという、社会人マナーに外れる冷たい対応をした』。
『東京の有権者はこれまで都議会のことなど考えたこともなかっただろう。小池さんが知事に就任してから、連日都政を見聞きするようになった。そこで疑問がどんどん膨らみ、強烈な怒りに変わっていった。これまでの都議会を変えたいという有権者の意思表示が示されたのは当然だろう』。さすがに地方自治体の首長経験者、かつ新しい政党の責任経験者。わかりやすくも、問題点を的確に突く解説はお見事です。
★子供が乗せられる電動アシスト自転車の好調に支えられ、パナソニックは、今度電動アシスト・マウンティンバイクを発売。山道を走る自転車、私は670mの里山の頂上で出会いました。岩場は自転車をかついで登ったそうだ。子供乗せアシストは、15万円前後。マウンティングはなんと33万円。普通のママチャリが1万円強だから、電動アシストがいかに付加価値の高い自転車かがわかる。たかが自転車、されど自転車、ではある。
★昨夜、7日のカープ、神宮でのヤクルト戦すごかったねえ。カープ今季初先発の左腕戸田が乱調。5回までに7失点、1-7とゲームは決まった感じで推移。7回表にヒットでつなぎ2点を返すも、裏に1点とられスコアは3-8。今日はここまでか、と思っていたら、9回の表に大逆転劇が幕を開けた。ヤクルトのクローザーは小川。なんと先頭バッターのバティスタがホームラン、田中がアウトのあと菊池がホームラン。これで5-8まで来たものの、まだ3点。さすがのカープも駄目だろうと観念した。ここまで返したことでヨシとせねばと。と、丸が四球、鈴木がアウトでツーアウト1塁。今日ホームランを打っている松山が打席に入り、4球目を左中間に2塁打、丸は1塁から生還し、あと2点。次は若手、西川龍馬、ここのところいいところなし、が、奇跡は起こるのだなあ、なんとセンター前のヒット。これでホームランが出れば逆転のシーン。代打はもちろん新井さん。巨人戦では同じシーンで三振。まさかホームランはないだろう、と思いつつ期待する。2ボール、1ストライクからの4球目、真ん中やや低め、新井さんバットを強振、ボールは理想的な放物線を描き、一番深いセンターバックスクリーンに突き刺さる3ラン。なんとなんと6点差をひっくり返すビッグイニング、大逆転で9-8。神宮にかけつけた真っ赤に染まったカープファン席はもう祭のような大騒ぎに。9回裏は、ここのところ安定しているクローザー今村。今日ホームランを含む3安打の山田を三振に取って3アウト、ゲームセット。なんとも輝かしい試合内容ではあった。
まあ、先発戸田が独り相撲で大誤算だったが、カープの打線がこれを打ち返すのだからすごい。阪神が巨人に負けたため、2位との差は8ゲームに開いた。昨年7月7日現在の成績は48勝32敗2分、今年は49勝28敗1分、5試合分昨年よりアドバンスしている。気になるのは鈴木。ここ1カ月くらい、塁にランナーがいる時ヒットが打てない、ボールに手を出し三振する、など不調が目につく。今日も5打席ノーヒット。それでも打点リーグトップ、ホームラン4位を維持しているのだからすごいといえば、すごいが、もっとチャンスに強くならないといけない。巨人の坂本のようにどんな球でも打ち返す柔軟さが求められている。昨夜のスカパー野球ニュースを録画を鑑賞し、明日カープの大逆転劇の感慨に浸りたい。
なお、新井さんが放った代打逆転ホームラン。40代の代打本塁打はプロ野球通算47本目。カープでは初。80年4月26日に44歳9カ月の西武・野村が9回1死から代打逆転3ランを放っているが、40代の選手が9回2死から代打逆転本塁打はプロ野球史上初めての記録。すごい、すごい、新井さんではある。