3月15日に行なわれたJ1第3節、川崎フロンターレvs大宮アルディージャの試合後の記者会見で、フロンターレの風間八宏監督がこんなことを話していました。今季は3年ぶりとなるふた桁得点が期待される川崎Fの小林悠。『小林は動きがキレているので、前線に嘉人とふたり2トップで並べると、攻撃的に怖い形になる』。風間監督の言う小林とはFW小林悠(26歳)。開幕戦から2試合連続ゴールを決めていた小林は、ナビスコ・アルディージャ戦でも得点こそなかったものの、大久保の今季初ゴールをアシストしたのをはじめ、多くのチャンスを作り出しました。
ショートパス主体で攻撃を組み立てるフロンターレにあって、DFラインの背後に飛び出す動きを得意とする小林は、チームにダイナミズムをもたらす存在。日本代表における岡崎慎司に例えれば、わかりやすいでしょう。小林自身は『そんなにキレているということもなく、普通だけ』と、謙虚。それでも『開幕戦から点も取れているので、そう思ってもらえているのではないか』と語り、こう続けます。『嘉人さんは、下がってゲームも作れるし、ミドルシュートも打てる。自分はできるだけ前線に張って、DFラインの裏を狙うようにしている』と。事実4節のFC東京戦でも2得点。特に最初の得点は斜め右から角度のないミドル。豪快でした。
しかし、そんな期待を抱かせてくれるのは、小林ばかりではありません。Jリーグは開幕から4節が終了したばかりですが、早くもブレイクの予感を漂わせる選手が現れています。その筆頭格と言えるのが、サンフレッチェ広島のDF塩谷司(25歳)で。塩谷のポジションは3-4-2-1の「3」の右。最後尾のDF。にもかかわらず、開幕戦から2試合連続ゴールを決めたばかりか、AFCチャンピオンズリーグのFCソウル戦でも決勝ゴールを決めるなど、まさに今、乗りに乗っている選手です。
しかも、それらのゴールが実に多彩。イブラヒモヴィッチばりの豪快なFKを直接叩き込んだかと思えば、メッシばりに柔らかくGKをかわす技ありシュートまで決めてしまうのだから恐れ入ります。DFというポジションにありながら、塩谷がサンフレッチェで攻撃の中心的役割を担っているのは間違いありません。右アウトサイドのミキッチがタッチライン際に開いて相手のDF網を広げると、その内に生まれたスペースを突いてスルスルと塩谷が上がっていくのは、もはやサンフレッチェの得意パターン。そして、第2節のフロンターレ戦で見せたFKのように、右足から放たれる弾丸シュートはまさに脅威。FKだけでなく、流れの中からでも強烈なミドルシュートを打ってくる。
もちろん、”本職”のほうでもぬかりはなく。攻め上がりが多く、時にカウンターから背後を突かれることもありますが、スピードに優れる塩谷は素早く帰陣し、高いディフェンス能力で相手からボールを奪い取る。1対1の守備にも優れており、ただ攻撃能力が高いだけの危なっかしいDFではないのです。
2012年シーズンの途中、森脇の浦和への移籍を予想し、J2水戸ホーリーホックからサンフレッチェへ移籍した塩谷は、当初は控えが中心でした。が、シーズン終盤には徐々に出場機会を増やし、12月にはFIFAクラブW杯にも出場。森脇の穴を埋めて余りある活躍で、Jリーグアウォーズでは優秀選手にも選ばれました。2年前の今ごろはJ2の、しかもJ1昇格とは縁のないクラブでプレイしていた選手が、J1を代表するDFへと成長。塩谷は今まさに、サクセスストーリーの階段を一気に駆け上がっている真っ最中です。
その他では、鹿島アントラーズのMF遠藤康(25歳)の名前も挙がります。チーム開幕3連勝の原動力となっている鹿島の遠藤康。開幕戦から2試合で3ゴールを量産。内田篤人、槙野智章らを擁し、2007年U-20W杯でベスト16に進出したU-20日本代表の候補にも名を連ねる有望株でしたが、当時はJリーグで目立った活躍を見せることはありませんでした。
それでも利き足の左足から放たれる強烈なキックと、抜群のキープ力を武器にじわじわと台頭。主に右MFを務めるレフティは、右サイドから中央へドリブルでカットインし、左足でミドルシュートというパターンを得意の型としており、現在では名門アントラーズの攻撃に欠かせぬ中心選手となっています。J初ゴールを決めた2010年シーズンの2ゴールから、3、6、7と、着実に年間最多ゴールの自己記録を伸ばしてきました。今季はここまで、記録更新はもちろん、自身初のふた桁ゴールも間違いないと思わせるだけの活躍を見せています。
ここに挙げた3選手は、小林が1987年生まれで、塩谷と遠藤はともに1988年生まれと、年齢的に言えばもはや若手と呼べる選手ではありません。しかも、すでに昨季以前から所属クラブでは主力として活躍しており、シーズン序盤の活躍だけでブレイクを期待するのも適当ではないのかもしれません。とはいえ、彼らのように着実に力をつけている中堅選手というのは、日本サッカーのレベルアップという点においては貴重な存在。しかも、日本代表選手にスポットライトが当たりがちなJリーグにあって、彼らのような選手に注目することはJリーグを見る新たな楽しみにもつながるでしょう。20代なかばの大ブレイク。今季J1のキーワードになりそうです。
★甲子園の1回戦、広島新庄と東海大三は、6-0で新庄が圧勝。県北の高校が甲子園で活躍した記憶がありませんから、これには驚き。投手の山岡が素晴らしいピッチング。もうプロから指名があってもよいような球威。2回戦以降どうなるか、楽しみです。広島と言えば、広商、広陵が定番高校でしたが、最近は活躍の場面がめっきり少なくなって。昨年も新庄は活躍し、投手の田口は巨人から3位指名を受けました。ガンバレ、新庄!
★民主と維新がNHKの予算案に反対を。籾井会長の言動を問題視し、NHK視聴料の不払いが増えることを反対理由に。まあ当然至極ですねえ。籾井会長は辞任の道しか残されていないでしょうよ、お友達・阿倍首相殿。
■今日の画像は、『スイス・インターラーケン付近を走る登山列車』と、『小林、塩谷、遠藤』の3選手です。新しい息吹、Jへ!\(^o^)/