■1958年、東京都生まれ。雑誌記者・編集者を経て現在、フリーのルポライター。主に育児や家庭の問題をテーマにしている。『ネグレクト 育児放棄 真奈ちゃんはなぜ死んだか』で第11回小学館ノンフィクション大賞を受賞。
■フリーランスのルポライター、杉山春さんは長年、育児や家庭の問題を追い続け、2000年に起きた段ボール箱の中で餓死した『真奈ちゃん事件(当時3歳)』を取材した『ネグレクト・・・』で第11回小学館ノンフィクション大賞を受賞している。近作『ルポ 虐待―大阪二児置き去り事件』では、記憶に新しい2010年の夏、大阪市のマンションで2人の子供が餓死した事件を取り上げている。
今『ひきこもり』が増えていますが、ひきこもりの人達へインタビューをしていると、子供の時に傷ついているケースを見受けます。虐待が背景にある場合がある。幼児期にひどい目に遭うと、非行化して反社会的になったり、活力を失ってひきこもり生活をしたり。少子化だというのに、せっかく生まれてきた命が健康に育っていかない。もったいないことだと思います。人格が出来上がる前に、その人しか頼れない人から激しい言葉を受けたり暴力を受けたり、愛情のない体験をさせられたりというのは、人間の根幹にかかわる、かなりの破壊力があると思います。
非行を起こした少年のかなりの比率が、虐待を受けて育ってきた人達ですよ。非行と虐待はものすごく親和性が高い。
私は38歳で子供を産みました。それまでの時代と比べて、90年代は子育てが非常に大変になったと言われる時代なんです。育児の不安が言われ始めた時代でした。『なんでかな』と不思議に思って、子育ての話を取材し始めた頃に愛知県のベッドタウンで、女の子が餓死する事件に出合ったのです。
4年近く取材と執筆にかかりましたが、これで(『ネグレクト』)賞を取ったので、小学館の『週刊ポスト』に出入りし、出稼ぎブラジル人のことを書いたら新潮社から『うちから出さないか』と言われ、取材費をもらい、ブラジルに行き、3年くらいかけて3冊目の『移民環流』を出しました。
私の子供は小学校2年生の時から中学2年生まで不登校の傾向が強かったのです。息子への対応でとても助かったのが、『ネグレクト』を書き終わった直後に息子の不登校が起きたということです。段ボールに入れて我が子を餓死させてしまったお母さんは実は、自分自身も同じような虐待を受けた経験をしていた。さらにその母親もそうだった。そんな『虐待の連鎖』の家庭の出身なのですが、彼女の母の時には一応引き取って育ててくれる人がいた。完全には孤立化していなかったのです。『ネグレクト』の事件を起こした彼女の3世代の親子を取材して、孤立化の進展に気がつきました。
次世代の人達がそういう中で育っているというのが、今の現実です。就労の問題も家庭の崩壊も、経済環境の悪化の中で起きています。今高卒の女性だと月15万円を稼ぐのが精一杯です。それで子供ができ、母子家庭になった時に子育てが出来るのか。支援の仕方を真剣に考えないといけないですね。ネットワーク作りが必要です。
でも、最終的にはお金の問題にいきつく。公的な支援をどうするか。経済の配分の問題になります。お年寄りにかけるお金が大きいのに比べると、子供達にかけるお金があまりに少ない。急速に母子家庭が増え、母子家庭の貧困化が増えています。日本全体に大きな近く変動が起きています。子育ての基盤が揺らいでいるのです。
★杉山さんの話を読み、結婚しても25%は離婚する時代に、生まれた子供達の保護や支援が手抜かりになっているのは事実を再認識させられました。先般も、大阪北区で母子が餓死する事件がありました。『おなかをいっぱいにさせてあげられなくて、ごめんね』と書きつづった母親の心境には絶するものがあります。ここまで女性、母親を追い込んだ日本という社会の欠落、欠陥をどのようにして直すのか。厚労省を先頭にしたお役所仕事では無理だと、私は思いますねえ。悔しかったら、しっかり実のある仕事をして見せて欲しいです、厚生労働省殿。
★沖縄基地移転問題、原発再稼働問題、ことあるごとに首相や閣僚は『丁寧に説明していく』と宣うが、私は丁寧な説明を聞いたことがありません。これは国民に対してではなく、国会議員に対してでしょうかしら。何か慣用句のようになった言葉ですが、『言うことと、やることが違うぞ』、阿倍首相殿。
★その沖縄基地移転問題。テレビ、新聞メディアはこぞって普天間基地の移転反対を報道しています。それは昨年の県知事選挙で反対候補が勝った所以でしょうか。普天間基地の危険性を除去するため、この移転は避けて通れない問題です。メディアは『不偏不党』の論陣を張り、結論・判断は視聴者・読者にまかせるべきではないでしょうか。51.5%の得票、過半数をたった1.5%越えただけの反対候補が、あたかも沖縄全体が移転反対を唱えているかのようなメディアの報道には驚きます。傲るなかれ、過半数をたった1.5%越えただけの翁長県知事殿。
★『月刊文藝春秋9月号』が、追加印刷分を含め、発刊部数が合計105万3千部に達しました。同号は、第153回芥川賞受賞作・又吉直樹さんの『花火』を掲載しており、初版も通常号の2倍に相当する92万3千部を発刊しました。同誌の史上最多発刊部数は、最年少の芥川賞受賞作・綿矢りささんと金原ひとみさんの受賞作を全文掲載した平成16年3月号の118万5千部。雑誌の衰退が嘆かれて久しい時期に、このような金字塔を立てる文芸春秋に拍手喝采、です。創業者・菊池寛も墓の下で喜んでいるでしょうねえ。文春、新潮は、新聞メディアが報道しない『真実に迫る』情報を読者に提供しており、その役割は社会的にも認知されています。ガンバレ、文藝春秋!
★日航機が群馬県の御巣鷹山に墜落して今年で30年。520名が亡くなるという日本航空事故として最大のもの。あの坂本九さんもこの便に搭乗していました。この御巣鷹山への慰霊登山者が毎年増えていると。今年7月には1,500人にも。事故に関係ない人達ですが、被災者の御霊の安らかならんことを、との願いの様子で、登山者の種別は雑多で幅広く。全くの他人の慰霊に登る人達が増えいている現象、また日本人の心でもあるのでしょう。
★またあのバカ殿が。今度はソウル西大門刑務所跡地で、靴を脱ぎ、土下座して独立運動活動家の虐待、殺害に謝罪したそうです。ちょっとおかしい。確かに政治犯を虐待した事実は消せないでしょうが。一つは、李承晩大統領時代、朝鮮戦争が始まり、ソウルが陥落し、李承晩は上海に逃げますが、当時北朝鮮親派、共産党員などを虐殺しました。その数60~120万人。それに耐えかね、韓国から漁船などで日本に亡命した人達は100万人。この膨大虐殺事件に比べて、なぜ日本統治時代の政治犯に対し謝罪するのか。日本でもこの治安維持法により獄につながれ、獄死など数知れず。悪法といえど、法律です。法治国家のテーゼにも劣る行為と言えますねえ、バカ殿ご乱心は。
記録ではこの法により送検された人7万5千人。送検後死亡した人1,682名。そのうち拷問で殺されたもの65名です。韓国の受刑者への謝罪を土下座して行う鳩山氏は、一体日本国内で行われた蛮行に対し、どのように謝罪したのでしょうか。死亡者全員の墓前に参り、冥福を祈るようなことをしたのでしょうか。国内問題も整理・理解出来ず、自由主義者の先兵のごとく、海外から招聘されればほいほいと出て行き、外交上の問題を引き起こす、鳩山由紀夫の存在は日本国政治上真っ黒な汚点です。何度も書きますが、日本の韓国併合は当時の国際法上合法であり、このことは歴然とした事実です。それとも、朝鮮の人々は日本ではなく、ロシアの植民地になりたかったのでしょうかしら。そして多くの人達をシベリア抑留に送りたかったのか。はっきりさせて欲しいですねえ、朴大統領殿。
★今日の画像は『天空の縦走路』です。先週、立山を3日間歩きました。3015mの大汝山から、3003mの雄山神社、雷鳥沢から一ノ越まで、神の道を。そして大日岳、天狗平、阿弥陀が原を。まさに『天空の縦走路』でした。画像は、∥臚鮖海ら雄山、3000mの縦走路、⇒沙海ら別山への縦走路、0譽留曚ら見る体調沢からの神の道、遠景は大日岳連山、な婿灰ールと剣岳、ネ訥斬瑤瞭僚弌⊆蠢阿硫屬魯魯サンイチゲ、Π譽留曚ら雄山への岩場、富士の折立から別山までの縦走路、大日岳稜線縦走路、池塘と高山植物の宝庫天狗平、ラムサール条約登録湿原・阿弥陀が原。帰着後、また来年のアルプスに夢を広げる毎日ではあります。(画像が過去のものとダブっていました。大変失礼しました)(@_@)